新聞に「奄美大島のマングースを根絶」というニュース記事が出ていました。何でも、最盛期の2000年には1万匹もいたそうですが、罠をしかけ、捕獲、殺処分して完全にいなくなったといいます。

「マングース」といえば「ハブ」、僕もテレビで「ハブVSマングース」の戦いをショー?にしたものを観たことがあります。そう、マングースは元々、「ハブ退治」のために1979年に30匹が持ち込まれたといいます。ところが、ハブは「夜行性」でマングースは日中活動する動物で、「ハブ駆除」にはほとんど役立たなかったそうです。そして、マングースは大繁殖して、ウサギを襲ったり、作物を食い荒らす「害獣」となってしまったわけです。

最初にマングースを持ち込んだとき、「ハブは夜行性」だとか生態ぐらい調べておかなかったのかねえ。ともかく、人間の勝手で累計3万匹ものマングースが殺されたわけです。しかも「根絶」までに35億円もかかったといいます。

こうして、人間の勝手な都合で動物が殺された話といえば、『かわいそうなゾウ』を思い出します。毎年、8月15日の「終戦記念日」にTBSラジオで秋山ちえ子さんが朗読されていたので覚えている方も多いと思います。最初は「秋山ちえ子の談話室」という番組で、のちに「大沢悠里のゆうゆうワイド」にも引き継がれ、秋山さんが2016年に亡くなったあとも「録音」で朗読が流されました。

昭和18年、第二次世界大戦が激化し、空襲で「上野動物園」が破壊され、猛獣などが逃げてしまうことに備えて、動物たちを殺処分することになり、象もその対象になります。最初は、毒の入ったエサを食べさせようとしたのですが、象は気づいたのか吐き出してしまいます。毒薬の注射も象の皮膚があついので効きません。それで、餓死させるしかなくなります。象はエサが欲しくて必死に芸をしたりしますが、飼育員は涙をこらえてエサを与えません。とうとう、象はやせ細り餓死してしまう……という話です。

実は、この時点では東京の空襲は1回しかなく、象なんかは他の土地に「疎開」させることも可能だったそうです。それを「殺処分」にしたのは「プロパガンダ」だったのです。「今、お国は大変な戦いをしているんだ。象だって命を捨てなきゃならないんだ」と、都民や国民に危機感を持たせ、窮乏に耐えるようメッセージを送ったというわけです。実際、「殺処分」の命令を出したのは「動物園長」でなく「都知事」だったのです。

餓死した象を「美談」に仕立てた「プロパガンダ」、「ハブ退治」に連れてこられたのに根絶、象にもマングースにも罪はないのです。人間は身勝手な理由で何という罪深いことをしたのでしょう。(ジャッピー!編集長)