ふたつ前の当ブログで、7月23日(火)に行われた「オールスター・ゲーム」第1戦で日本ハム・ファイターズの水谷瞬選手「背番号100」の「ファイターズ50周年記念特別ユニフォーム」で登場したことを書きました。

全パのトップ・バッターをつとめた水谷瞬選手は「プラス・ワン投票」で選ばれ初出場。水谷選手は「昨年の今頃を考えると、自分でも信じられない」というコメントを述べていましたが、それも当然で、昨年まで在籍していた「ソフトバンク・ホークス」では1軍の試合に出たこともなかったのです。2軍の開幕戦すらスタメン落ちし、不振で3軍に落とされたこともあったといいますから、まさか自分が1年後に「夢の球宴」の打席に立っていることを想像もしなかったでしょう。

水谷瞬選手は昨年オフの「現役ドラフト」でファイターズに移籍してきました。開幕2軍だったものの、1軍に上がると次第に結果を出し、外野の一角に定着します。そして、セ・パの「交流戦」でブレイク。交流戦史上最高打率をマークし、「交流戦MVP」になったのです。

昨年までの5年間、1軍の試合すら出ていなかった選手が1軍のゲームに出場、初ヒット、初ホームラン、初打点、交流戦MVP、そしてオールスター戦出場……とまさに一気に駆け上がったのを見ると、シンデレラ・ストーリーのようです。スポーツ新聞を読むと、水谷瞬選手はファイターズに来て、2軍の佐藤友亮コーチと出会ったことが大きかったと語っています。

佐藤コーチから「上を向いてから、投手を見ると視野が広がるよ」と、構える時バットを高く上げてバットの先端を見つめるルーティンを教えてもらい、やってみると2軍の試合で2打席連発のホームランを打ったそうです。「打ちたいとはやる気持ちを抑える」ようになったと言います。

これなんか、「バッテイング技術」じゃなくて「メンタル」というか「心の構え方」ですよね。それも「ほんのちょっとした」ことです。でも、これが大事なわけです。プロ野球の世界に入ってくるような選手は皆、それぞれ優れたものを既に持っているわけです。それを出せるかどうかは、ほんのちょっとした「きっかけ」なんでしょう。そして、その「きっかけ」を引き寄せてくれる「出会い」が大きいのでしょう。もちろん、そこには、自分も「変わろう」という能動的な気持ちあればこそですね。

「現役ドラフト」は細川成也選手(DeNA→中日)、大竹耕太郎投手(ソフトバンク→阪神)と成功例を出し、今年の水谷瞬選手もそこに並びます。それまで結果が出なかった選手がチームを変わったとたんに大活躍、現役ドラフト自体、そんな「きっかけ」と考えると良い制度だと思います。野村克也さんは、「指導者は”気づかせ屋”」というようなことを言っていますが、あらためて本当だなあと思うのです。 (ジャッピー!編集長)