このところの当ブログで、19日の「党首討論」でのキシダ文雄について書いています。

こいつがお題目のように言っていた「政治にはコストがかかる」というのは、実際には「選挙に金がかかる」ということです。それで、選挙の内幕を描いた『善人の条件』(1989 ジェームス三木監督)を紹介しました。

『善人の条件』よりずっと前にも、選挙で現金という「実弾」をバラまく映画がありました。僕の大好きな芦川いづみさんが出演された『白い夏』(1957 斎藤武市監督)です。「神保町シアター」で、2016年7月に「恋する女優 芦川いづみ アンコール&リクエスト」という特集上映があり、前のめり気味に観に行ったのでした。

この映画の主人公は、千葉の安房町の小さな郵便局に赴任した青年(青山恭二)です。芦川いづみさんが演じるのは、郵便局長(織田政雄さん)の娘で真面目で清潔感あふれる役で、これ以上は考えられない適役です。「私、暴力ふるう人はキライだけど、不潔な人はもっとキライ!」などという台詞がこれほど合う女優さんはいないと思います。

青山さんは閉鎖的な田舎町の新参者として周囲に振り回されます。先輩のチャラい郵便配達員(近藤宏さん・今見ると阿部サダヲさんに似てるなあ)がラブレターの盗み読みしてるは、宿直中にアプレぽい看護婦(中原早苗)が押し掛けてきたり……、といっても、ホッペにキスされるぐらいですが、当時ではかなりの積極的な娘です。芦川さんは、青山恭二さんと中原さんの仲を疑って、先述のセリフを言ったり、ツンデレ展開です。

この町は一人の有力者(相原巨典さん)が牛耳っていて、人々は皆、言いなりです。町民野球大会があると、このボスの投げる球にわざと空振りしたり、もうボスのご機嫌をとるのに必死なのです。

そんな中、青山さんが代打に起用されます。町に来たばかりで事情を知らない青山さんに、近藤宏さんは「三振しろよ」とアドバイスします。近藤宏さんはボスの腰巾着なのです。ところが、

応援席にいる中原早苗さんが「打て~」と声援を送るので、青山さんは打ってしまい、おまけにそれがエラーを誘い、一気にホームまで駆け抜け、決勝点になってしまい、ボス派の町民から睨まれます。

そんな町で、ボスが町長選挙に出ることになり、買収しようと一人あたり200円ずつ入れた封筒を町民全員にバラまきます。(この項、続く)(ジャッピー!編集長)