さらに続いて、当ブログ2021年8月21日に書いた「『ひよっこ』のテーマ“殻をやぶる”と、ビートルズ」を再録します。

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ひとつ前の当ブログで、2017年前期の朝ドラ『ひよっこ』の中で、ムネオおじさん(峯田和伸さん)が戦地で会ったイギリス兵について回想し、せっかく生き延びた命だから「笑って生きとおっと!」と話し、続いて「大きな声出すと、気持ちいいだろ。それに笑えてくるだろ。ビートルズを好きなのはそういう所だ。あいつらが大きな声で唄うのは遠くまで届かせたいからだ」と、みね子(有村架純さん)たちに語る場面は本当に忘れられません。

僕も全面的に同感で、ビートルズを初めて聴いたときに感じた、あの解放感、幸福感、何だか説明しようがない高揚感。ビートルズが世界中を席捲する人気を得たのは、こういう気持ち多くの若者たちにもたらしたからでしょう。それは時代も国も超えて普遍的なものなのです。  

この「何でもいいから大きい声を出すと、気持ちいいだろ。それに笑えてくるだろ。ビートルズが好きなのはそういうところだ。あいつらが大きな声で歌うのは遠くまで届かせたいからだ」というムネオさんの言葉は、シング・アウト(大きな声で歌う)することは、大衆、特に若者が声をあげていいんだ、主張していいんだという「自由」を獲得し謳歌する時代の象徴のように感じます。

まさに「ビートルズ、派手にやれ!」(←初代マネージャー、アラン・ウィリアムスさんの著作タイトル)という通り、自由奔放に歌いたいことを歌い、シャウトし、既成の価値観を打ち破ったビートルズこそが、『ひよっこ』(=殻をやぶる)の主題そのものではないでしょうか。なので、このムネオ叔父さんがビートルズを語るシーンは、『ひよっこ』全体の中でもポイントだったように思います。

このシーンでムネオさんはさらに「レコードになって、リヴァプールから茨城に届くなんてスゴイだろ!」とも言います。この、自分の中で「世界」が広がっていく高揚感、RCサクセションの「トランジスタ・ラジオ」を思い出させます。 

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次のブログに続きます。(ジャッピー!編集長)