ひとつ前の当ブログで、有村架純さんが「保護司」の役を演じた『前科者』(2022 岸善幸監督)を取り上げました。

僕がこの映画を観たのは2022年2月7日、だいぶ前なので細かいところは忘れていますが、ラスト近く、それまで訊かれても言わなかった「自分が保護司になった理由」をはじめて言い、さらに「助けがほしかったら、叫んで! 私はどんなことがあっても助けになるから」という台詞は、分断と格差が顕在する社会へのメッセージに聞こえました。

この映画には、他にも印象的な台詞が多くて、やはり「逆恨み」されている弁護士(木村多江さん)が「どんなに残忍な加害者でも、“更生”に対して線引きしてはいけないでしょ」という台詞も心に残りました。一度、犯罪や非行によって社会から外れてしまうと、なかなか「仕事」にもつけず、社会復帰が困難になるという現実がありますからね。また、「更生」に限らず、何かにつけ「線引き」することが蔓延している状況に投げつけた台詞と思います。

また、ミドリ(石橋静河さん)が佳代(有村架純さん)に言う台詞、「“更生”って、人が生き返ることなんですよ。それに立ち会えるってスゴくないですか」というのも良かったですね。人間って、自分のことよりも、「誰かのためになっている」ことの方が一所懸命になれるってところ、たしかにあるもんなあ。人に関わって、その人が喜び、その人が生きることを手助けできる、これって自分の喜びでもあるよね。特に、今、僕なんかは、この歳になって「何のために生きてきたのか」と人生に懐疑的になっているから、強く思うのです。

このミドリもかつて犯罪者で、「保護司」の佳代と知り合い、立ち直った女性で、原作マンガ(原作・香川まさひとさん、作画・月島冬二さん)の方にも出てきます。そういえば、原作マンガの方は、佳代の祖父も「保護司」をしていて、その影響もあって佳代も「保護司」になるのですが、バイト先の店長に「一銭にもならないのによくやるねえ」と言われると、「保護司をしていなかったら、私はお金を稼ぐためだけに生きてることになっちゃうから」というようなことを言います。

「裏金」をガメて、それをマネーロンダリングして私腹をこやす国会議員たち(6月4日~5日の当ブログ参照)に聞かせてやりたいですよね。(ジャッピー!編集長)