保護司の新庄博志さん(60)が5月に大津市の民家で殺害された事件は、新庄さんが立ち直り支援をしていた「保護観察中」の飯塚絋平(35歳)が容疑者として逮捕されました。

新庄さんは飲食店の経営をしながら「保護司」の活動にも熱心に取り組み、飯塚容疑者に対しても就職先を探したり、親身になって支援をしていたといいます。全くやりきれない事件です。

「保護司」というのは、犯罪を犯した人が更生し、社会復帰する手助けをするわけですから大変な仕事です。時間もとられるし、生半可な気持ちではできません。この「保護司」は給料の支給もなく、基本的にボランティアであると知ったときには驚きました。

保護司が主人公の映画がありました。有村架純さん主演の『前科者』(2022 岸善幸監督)です。有村架純さんが演じる佳代という女性が「保護司」として、悩みながらも支援の相手に関わっていくという話です。原作は「ビッグコミック・オリジナル」に連載されていた漫画で、僕としては珍しく読んだことがありました。たまに行っていた喫茶店に置いてあった「ビッグコミック・オリジナル」で何回か読んでいて。その「映画化」ということで観に行ったのでした。

ただ、原作とはちょっと違うところがあり、佳代が「保護司」になった理由はだいぶ複雑なものになっていました。かつて恋人だった誠という男性がいて、彼の父親が殺される事件をきっかけに、誠は「徹底的に犯罪を憎む」ようになり、刑事となります。一方、佳代の方は「保護司」と道を分かつのです。ちなみに、誠を演じるのは磯村勇斗さんで、有村架純さんとは朝ドラ『ひよっこ』で夫婦役でしたから、ちょっと不思議な感覚でした。

また、映画は「殺人事件」をめぐるサスペンス的な要素も入っていました。映画として、より「ドラマチック」な展開が必要だったと思います。その辺は「ネタバレ」を避け、詳しく書くことは避けることにします。

ともかく、支援していた男性(森田剛さん)がまた犯罪に関わってしまい、佳代はラスト近くに「助けがほしかったら、叫んで! 私はどんなことがあっても助けになりたい」と言います。ここがすごく印象に残りました。どこかの国に「自助ファースト」と冷たい表情で言い放つ首相がいましたが、製作時期を考えると、そいつに対するアンチで書かれた科白かもしれないと思ったのでした。(ジャッピー!編集長)