ひとつ前の当ブログで、1974年のオールスター戦で見せた、福本豊選手の超スーパー・プレイについて書きました。

阪神・田淵幸一選手がバックスクリーン近くに放ったホームラン性の打球を、センターを守っていた福本さんが背走し、フェンスに上ってキャッチしたのです。完全に「ホームラン」と見えた打球でしたから、まさに「もぎ取った」という感じでした。このプレイで福本さんはこのゲームのMVPを獲得しましたた。

この前年のオールスター・ゲーム第3戦では、盗塁を試みた福本豊選手が田淵幸一捕手の強肩に刺されていたので、その「リベンジ」という形になったのも覚えています。この「福本外野手が田淵選手のホームランをもぎ取る」シーンは野球ファンには有名ですが、もう一つ、福本豊選手で忘れられない場面がありました。やはり、前年の1973年だったか、一塁に出た福本さんがさあ盗塁かとリードを広げたとき、マウンドにいた稲葉光雄投手(中日ドラゴンズ)が顔を一塁の方に向けたまま、普通にバッターの方へ投球したのです! 

このシーンは鮮烈に覚えていますねえ! 2球ぐらいやったと思いますが、ギョッとした福本さんは帰塁し、タイミングを狂わされた福本さんは盗塁できなかったのです。顔だけ向けただけで、投球動作を止めていないので「ボーク」にもなりません。稲葉さんの人を食ったような「技」もオールスター戦ならではですが、圧倒的な盗塁数のスピード・スターである福本豊選手を何とか「走らせないぞ」という気持ちもあったのでしょう。オールスター戦とはいえ、真剣に「勝負」していたのです。

ところが、最近のオールスター戦は何だか「ぬるい」感じがするのです。何年か前、阪神の近本光司選手がヒットを連発し、「サイクル・ヒット」に王手をかけた試合がありました。そして、あと三塁打だけとなった最後の打席で、パリーグの外野手が前進守備でわざと「外野を抜けやすく」して、さらにサードの松田宣浩選手もタッチの際に落球という念の入ったアシストで三塁打にして「サイクル達成」にしたことがありました。いくら、球宴という「お祭り」とはいえ、何だかシラケたのを覚えています。

今のオールスター戦は何だか皆、セ・パ関係なく仲良しで和気あいあい。そもそも交流戦もあるから目新しさもなくなったし、ケガしない程度に楽しめばいいやという感じになっていますね。先日、今年のオールスター戦の監督をつとめる岡田彰布監督と中嶋聡監督の会見がありましたが、真剣なゲームを望みます。 (ジャッピー!編集長)