一昨日の5月14日、俳優で映画監督でもあるサカキ英雄が準強姦容疑で逮捕されたというニュースが新聞に出ていました。

サカキ英雄は3回目の逮捕で、いずれも「映画に出す」ことをエサにしたり、「演技指導」の名目で性的暴行に及んだというものです。報道によると、サカキの所持するデータから10人ほどの女性のわいせつ画像が見つかったとのことで、被害者はまだ他にもいるようです。「映画監督」という立場を利用しての「唾棄すべき」悪質な犯行です。

関連して、当ブログ2023年3月2日に書いた「”沈黙を築き、黙らせてきたことが問題だ”と教えてくれる『シー・セッド その名を暴け』」を以下に再録します。

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ひとつ前の当ブログの最後のところで書きましたが、『シー・セッド その名を暴け』(2022 マリア・シュラーダー監督)で印象的だったのは「何よりも腹立たしいのは“沈黙”よ」というセリフです。

ハリウッドの大物プロデューサーという地位と権力を悪用して女優や映画スタッフにセクハラを繰り返していたハーベイ・ワインスタインを告発する記事を書くのは、「ニューヨーク・タイムズ」の二人の女性記者。演じるのはキャリー・マリガンさんとゾーイ・カザンさんです。

二人は記事を書くにあたって、裏付けをとろうと被害者たちを訪ねます。性被害を受けたことを公表したくない人、トラウマを苦しみおぞましい記憶を思い出したくもないという人、示談を受け入れて“黙らされた”人など、なかなか取材に応じてもらえません。特に、ワインスタインが示談に持ち込んだ被害者に断られて、このセリフが出るのです。

権力者が「沈黙を築き、黙らせてきたことが問題だ」とあらためて感じるのです。「こうして、カネで片づける。これが男性にとっては普通のことなの?」と問うシーンもありました。希望を持って映画界に入って来た女性たちの夢を打ち砕き、その後の人生も破壊してもカネで済まそうと考えるのは、相手を見下しているからです。

こういう姿勢は、セクハラに限らず日本でもはびこっていますよね。赤木俊夫さんを自殺の真相を知りたい赤木雅子さんに「認諾」で終わりにしようとした権力と結託した司法なんかもそうです。あ、東日本大震災の福島第一原発事故で、除染廃棄物の中間保管施設建設をめぐり、「最後は金目(かねめ)でしょ」と言ったイシハラ伸晃なんかもまさに上から目線のクソ人間です。(当ブログ2021年12月12日「60万円ガメようとしたイシハラ“最後は金目でしょ”伸晃は給付金詐欺の経産省キャリアと同罪」ご参照ください)

権力やカネで「声」を封殺することに対し、女性たちが「声」をあげたのが「#ME TOO運動」だったわけですが、女性だけでなく人を見下されている全ての人たちがいろいろな所から「声」をあげなければいけないのです。

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サカキ英雄のおぞましい行為を告発した女性被害者たち。思い出すだけでも辛い記憶の中で、訴え出た彼女たちの勇気がなければ同じような犯行が続き、まだまだ被害者が出ていたのです。(ジャッピー!編集長)