ひとつ前の当ブログで書いたように、NHK朝ドラ『虎に翼』の先週5月10日(金)の回で寅子(伊藤沙莉さん)が発した台詞が大変印象的でした。

試験に合格し、弁護士になる一歩を踏み出した寅子ですが、女性では「裁判官」や「検事」にはなれないのです。男性と同じ試験を受け、通ったのに、進む道が限られているのです。寅子は「女っていうだけでできないことがある」と、この理不尽について堂々と語り、「私たちは怒っているんです!」と言うのです。

女性が学問をすることに理解が得られない中、寅子は共に頑張ってきた仲間の姿を浮かべます。桜川涼子(桜井ユキさん)、大庭梅子(平岩紙さん)、崔香淑(ハ・ヨンスさん)、山田よね(土居志央梨さん)それぞれ強い志を持ちながら、家庭の事情や、国に帰る選択を余儀なくされたり、よねのように口述試験で理不尽に落とされたり、そんな思い通りに行かなかった同志たちの気持ちも背負っての「私たち」なのです。(よねが再登場したので諦めてはいません。頑張ってほしい!)

こうした「阻まれてしまった」先人たちの思いが積み重なって、切り拓かれた歴史があるということを忘れてはいけないと強く思います。名も残さず、誰からも顧みられることもなくとも、何とか範を越えようとした人たちがいたからこそ、後から来る人たちが理不尽をうち倒していけたのです。 

いまだ「男性優位」意識がはびこり、ジェンダー・ギャップは146ヵ国で125位、政治部門では138位と世界最下位を争うような有り様の日本。しかも本気で解消しようとしない旧弊な連中が、口だけ「女性活躍社会」とお題目をとなえています。実態がどういうものかはみんな分かっています。寅子のように「怒っている」と吠えていいんじゃないか、いや「怒る」べきだと思います。

当ブログ2月1日~2日、6日~7日に書いたように、アソ―太郎に「おばさん」とか「そんなに美しい方とは言わない」などと言われたカミカワ陽子は「さまざまなご意見や声があることは承知しているが、どのような声もありがたく受け止めている」などと受け流すべきではなかったのです。こうした発言にきっちり抗議をしないことが「差別」や「ジェンダー・ギャップ」の意識が低い空気を作っているのです。

アソ―太郎なんか、1983年には「婦人に参政権を与えたのが最大の失敗」なんて発言をしているんです。このとき、自民党の女性議員は本気で怒るべきだったのです。声をあげて、糾弾してアソ―を追放する場面だったと思いますよ。結果的に、「怒らなかった」ことで性差別やジェンダー・ギャップを温存してしまったのです。苦難の中、少しづつ道を切り拓いた先人の女性たちに申し訳ないと思わないのか。(ジャッピー!編集長)