ゴールデンウイークも終わりました。

今年は人によっては10連休ということですが、円安で「安・近・短」で済ませた人も多かったといいます。とはいえ、海外で過ごす人もけっこういるようで、空港の出国ラッシュ、帰国ラッシュの光景は完全にコロナ前に戻ったように見えました。

僕は長く教員をやっていたので、ゴールデンウイークも「カレンダーどおり」でした。せいぜい3日か4日ぐらいで、大型連休なんて無縁でした。で、今は「先立つものも無し」で僕のゴールデンウイークは結局は家で過ごすものなのです。

家でする仕事もあったので、だいたいラジオを聴いていましたが、印象に残ったのは5月2日(木)のニッポン放送です。午前11時から『山上路夫の軌跡』、午後1時から『音楽家・加藤和彦とその時代』という特別番組を続けて聴いたのです。

特に『音楽家・加藤和彦とその時代』は、もうすぐ公開される加藤和彦さんのドキュメンタリー映画公開に合わせた番組で、リクエスト曲をかけながら何人かのコメントが紹介されました。中でも、「フォーク・クルセダース」以来の盟友・北山修さんのインタビューには聴き入りました。

2009年に自ら命を断ってしまった加藤和彦さんに対して、精神科医でもある北山脩さんの「永遠の空しさ」という言葉が深く刺さりました。

北山さんによると、加藤和彦さんは「同じことができない人」で、音楽的にも同じことをやって同じように喜ばれるのがイヤだったといいます。北山さんは、新しい音楽を作れなくなっても昔の曲をそのままやればいいじゃないかとアドバイスしたこともあったそうですが、加藤さんは受けつけなかったそうです。「いつも若く、いつも新しいものを作る」ことが自分の存在価値と思っていたのでしょう。

この番組でも『帰って来たヨッパライ』はもちろん、『あの素晴らしい愛をもう一度』、『悲しくてやりきれない』、『白い色は恋人の色』、『タイムマシンにお願い』など数々の名曲がかかりました。これら、スタンダードとなった名曲をいくつも残しただけでは満足できなかったのでしょうか。自分の才能を信じておられたから、まわりの人の期待に応えないといけないと追いつめてしまったのでしょうか。

僕なんかも生きることの「虚しさ」を覚えることは多いですが、自分にそもそも抜きんでた才能も何もないことを受け入れてるから、こうしてアツかましくも生きているのかもしれません。 (ジャッピー!編集長)