このところの当ブログで、NHK朝ドラ『虎に翼』の5月3日「憲法記念日」に合わせたような、そしてキシダ文雄に突きつけるようなセリフについてかきました。

先週は寅子(伊藤沙莉さん)の父・直言が贈収賄事件に巻き込まれる話でしたが、古谷敏さんと森次晃嗣さんが出演されたのも話題になりました。タイトルロールでお二人の名前が並んだ日もあったので、明らかに「意識」されたキャスティングでしょうね。

古谷敏さんについて書いた、当ブログ2020年12月21日「古谷敏さん、“ケムール人から生まれた“ウルトラマン”」を以下に再録します。

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ひとつ前の当ブログで書いたように、『ウルトラQ』の「2020年の挑戦」で独特の走るフォームを見せたケムール人の着ぐるみに入っていたのは古谷敏さん。この後には、「ウルトラマン」の中にも入ることになります。では、古谷さんはどうしてウルトラマンの着ぐるみに入ることになったのでしょう。

きっかけは、「ケムール人」だったそうです。当時の古谷さんは何本かの映画に出ていたものの、ほとんどチョイ役でした。そこに『ウルトラQ』のケムール人の中に入ってくれないかと頼まれます。ケムール人は背が高くスリムな体型の宇宙人で、その着ぐるみに入れる体格の人が見つからず、古谷さんに白羽の矢が立ったのです。

 制作デスクの友人の頼みとあって引き受けましたが、もちろん俳優として顔を出せないスーツアクターの仕事は気が進まなかったそうです。ところが、これが評判が良く、怪獣の造形を担当していた美術デザイナーの成田亨さんにも「僕が描いたイメージ通りで良かったよ。古谷くんの演技力のおかげだよ」と褒められます。僕も『ウルトラQ』でケムール人を観たときは強いインパクトを受けました。夜の道路を「フォフォフォ」と言いながら、独特のストライドで走っていく姿、巨大化し、夜の遊園地の観覧車をもちあげるシーンなど強烈に心に残っています。

そして、『ウルトラマン』が始まることになり、ヒーローをデザインすることになった成田さんはケムール人の中に入った古谷さんをイメージして、あのスリムな体型のウルトラマンが誕生したのです。しかし、「主役だよ」と言われても、また着ぐるみの中に入るのか……と古谷さんは迷います。可愛がってくれていたお祖母ちゃんに相談すると、「そんなに必要とされているならやってみれば」と背中を押されて承諾、ウルトラマンのスーツアクターとなるのです。つまり、古谷さんのケムール人(他に「ラゴン」の中にも入っていたそうです)の「演技」から、現在まで様々なタイプが増殖した稀代のヒーロー・ウルトラマンのフォルムが決定したのであります。古谷さんが「ケムール人」に入ったときから、ウルトラマンはその50年以上に及ぶ歴史の歯車が動き始めたのです。

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次のブログに続きます。 (ジャッピー!編集長)