ひとつ前の当ブログで、僕は小心者なので「バクチ」にはもっとも向いていないと思うということを書きました。やるとしても、安全にチビチビしか賭けないから、ドーンと大穴を当てて儲けるなんてことはないでしょう。

大谷翔平選手の口座から24億5000万円を着服した水原一平は、大きく賭けていたのでしょう。218億円当てたけれど、負けも280億円で結局は大赤字です。水原一平も自分で「博才がない」と言っていたようですが、普通に考えれば「どこか、傷が浅いうちに止められなかったのか」と思いますよね。まあ、だから「依存症」という病気なわけですが。

借金が雪だるま式に膨れ上がり、「胴元」に催促される生々しいやり取りも公開されたりしましたが、取り返そうと思ってさらに「深みにはまり」、発覚せずに大谷翔平選手の口座からお金をかすり取り続けたとしたら、その果てには何が待っていたのでしょう? 

考えると怖ろしいですが、こういった「ギャンブル」の抗しがたい魅力に取りつかれてしまった人たちが出てくる映画を思い出します。小林旭さん主演の『黒い賭博師』(1965 中平康監督)です。旭さん演じる氷室浩次というスゴ腕のギャンブラーが主人公でシリーズ化されています。『黒い賭博師』はその第6作で、ありとあらゆる「賭博」が登場します。

例えば、水槽に入れた二匹の毒エイを戦わせる「闘エイ」なんてのも出てきます。「闘犬」や「闘牛」は知っていましたが「闘エイ」まであるとは。強いエイを見分ける決め手ってあるんでしょうかね? 

登場人物も、初めて買った馬券が「1-6」で大穴当てたもんで、以後ずっと「1-6」を買い続け結局はマイナスになっている男とか出てきます。こうした「ビギナーズ・ラック」で人生を狂わせた人も多いんだろうなあ。

この映画、こういった賭博に魂を奪われた人間のオンパレードですが、益田喜頓さんが演じる老賭博師がすごかったです。身なりは上品な紳士然としているのに「賭博」への執念は凄まじく、すでに「賭博」で全財産を使い果たしています。そして最後の勝負には自分の娘まで賭けてしまいます。

カードを引いて「大小」で決する一枚勝負、喜頓さんが先に引くと「3」、そして相手は……(以下、ネタバレ封印) このスリルが賭博にハマった人たちにはたまらない「生きる実感」なのかもしれませんが、いやあ僕にはムリだわ。(ジャッピー!編集長)