ひとつ前の当ブログに書いたように、『新ハレンチ学園』(1971 林功監督)で二代目「十兵衛」に抜擢された渡辺やよいさんは東映移籍後は、ちょっと薄幸な女の子という役柄が多いくなりました。

そんな渡辺さんの「被虐」のイメージがマックスだったのが『聖獣学園』(1974 鈴木則文監督)です。多岐川裕美さんのデビュー作でヌードも披露したことでも知られるエロチックな作品です。多岐川裕美さん演じる多岐川魔矢(この役名から芸名がついたのです)が母親の死の真相を探るためシスターになって修道院に潜入します。厳格な戒律に支配される修道院ですが、裏ではレズビアンとかリンチまがいの体罰が行われています。そして、渡辺文雄さん演じる偉い神父が裏で悪辣なことをやっていることを突き止めるという復讐劇です。

渡辺やよいさんの役は清純で真面目な修道女ですが、妊娠していることが判り追及されます。実は、セクハラ三昧の神父(渡辺文雄さん)に犯されていたのですが、真実が言えず激しい責めを受けます。最後には、縛られて、股の下に「キリスト」の鋳型?を置かれます。

要するに昔の「踏み絵」ですが、渡辺さんの場合はこの身動きの出来ない状態で禁尿を強いられるのです。責めるシスターは「神様に対してやましいことがなければ我慢できるはずです!」とムチャクチャなことを言います。おしっこを我慢する渡辺さんの苦悶する表情、股の下に置かれたキリストの盤がカットバックで映し出されて緊迫感が増していきます。そしてもうこれ以上こらえきれないという渡辺さんがとうとう漏らしてしまいます。「シャーッ」と盛大に放出される尿、そこに荘厳な音楽が重なり、かなりインパクトのある場面でした。そのあとの渡辺さんの放心したような表情も……

渡辺さんは、その後『資金源強奪』(1975 ふかさくきんじ監督←なぜか、この映画は「ひらがな」表記なのです)で、停職中の悪徳刑事(梅宮辰夫さん)の若い愛人役、『暴走パニック・大激突』(1976 深作欣二監督)では、川谷拓三さん演じる警官の恋人の婦人警官に扮します。この深作監督の2本では出番は少ないながら、ヌードを披露、コケティッシュな魅力を発揮していました。こういった小悪魔ぽい役は合っているのでもっとこの路線で見たいなあと思いましたが、その後は映画で見かけることも少なくなり、元・力士の「蔵間」さんと結婚されました。

しばらくして「蔵間」さんは37歳という若さで亡くなり、テレビのワイドショーに映る渡辺さんを久しぶりに見たのでした。涙を浮かべる渡辺さんに、かつての映画で演じた薄幸なイメージが重なってしまいました。今は幸せになっていてくれればと思います。  (ジャッピー!編集長)