ひとつ前の当ブログの続きです。

2019年の年末、12月27日にNHKで放送された『井上陽水50周年SP 名曲選1969~2018』であらためて陽水さんの書く歌詞にうなったということを書きました。

番組では、陽水さんの歌の合間に5人のゲストが登場して「井上陽水」を語るのですが、奥田民生さんが曲をつけた「アジアの純真」の意味よりも言葉遊び的な単語の並びなど、奥田さんも脱帽していました。「渚にまつわるエトセトラ」の♪カニ食べ行こう~はにかんで行こう~ について、「陽水さんという人は本当にカニが好きで、毎日でも食べるような人で、どんだけカニ好きなんだい!」という暴露?話も面白かったです。

また、宇多田ヒカルさんが陽水さんの「歌詞」について、「どーん!と大きな建物を建築するんじゃなくて、細かい組み細工のように言葉を組み合わせている感じがします。私もそっちのタイプなので……」というようなことを言っていたのが印象に残りました。本当に、一見ミスフィットかもと思われる意外な言葉を持ってきたり、その発想と感性、陽水さんの頭の中を覗いてみたいぐらいです。

最初にゲストとして登場した松任谷由実さんが、「陽水も私も、作る曲の世界がセンチメンタルやメランコリックという点で共通すると思うけど、センチメンタルというのは贅沢な感情なんですよね。本当に貧しくて食うや食わずだったりの社会だったらセンチメンタルなんて感情は起らないわけだから」という自己も含めての批評も印象に残りました。また、「陽水も私も複数回、ブームになったという点が共通するわね」ともおっしゃっていました。続けて、「私はこらえ性がないから同じスイングを続けられないですぐ変えちゃうんだけど、陽水は動かないわね、ずっと揺るがない」と語り、たしかに長年こうして生き残ることは、進化する点に加えて普遍性のようなものがバランスよくあることが大事なのかもしれません。

番組は「とまどうペリカン」、「海へ来なさい」といった僕の好きな曲も歌ってくれて、大変満足しました。「結詞」で幕を閉じる構成もよかったです。それにしても50年、こうして第一線でいることはやっぱりすごいことですね。

そういえば、「NTT東日本」のCMで、女の子が北斎の画に魅せられる場面に「海へ来なさい」が女性シンガーの声で歌われていますね。あらためてやっぱり良い曲だなあと思います。(ジャッピー!編集長)