違法賭博に関与していたということで、ドジャースを解雇された水原一平は、韓国で行われた開幕戦の試合後、ロッカールームで「ギャンブル依存症」だったとチームメイトやスタッフに告白、謝罪したそうです。

また、他の取材によると、「勝ったことがなく」ギャンブルの才はなかったと自覚していたようです。それでも、止められず深みにハマってしまったのですから怖いですね。本人の最初の証言では、大谷翔平選手に借金の肩代わりをしてもらうとき、「二度とやらない」と誓ったということでしたが、はたして言葉通りに簡単に止めることができたかどうか。

思い出すのは2018年2月24日に80歳で亡くなられた左とん平さんです。コミカルな名脇役で数々の映画、ドラマで活躍されていましたが、バクチにからんで逮捕されたことがありました。その後、2回目に捕まったときに、やはり賭博が好きなんだなあと、妙な納得をしてしまいました。そう簡単に「趣味・嗜好」というものはやめられないものです。

また、左とん平さんという方は、何と言うか……そういうギャンブルとか「遊び人」の雰囲気を醸し出していたように見えました。これが、映画やドラマではいいスパイスになっていたと思えます。とん平さんの出られた映画で初期のものに『見上げてごらん夜の星を』(1963 番匠義彰監督)があります。

この映画は定時制高校を舞台にしており、主演の坂本九さんは両親がいなくて昼間、工場で働きながら定時制に通っていて、貧しいながらも前向きに生きています。クラスメートには、伴淳三郎さん、仕事が忙しく休みがちになる工場の同僚(中村賀津雄さん)や、林家珍平さん、山本豊三さん、そして左とん平さんがいます。山本さんは成績は優秀ですが、やはり生活が苦しいので退学して自衛隊に入ると言い出します。このとき、とん平さんが「自衛隊に入ったってよお、今どきの戦争は原爆でボン!で終りだぞ」と言うのが妙に記憶に残っています。この映画から60年以上たって、相変わらず、世界は核の恐怖をぬぐえていません。

この映画で、定時制高校の先生を演じたのが松竹時代の菅原文太さん。何と「カマキリ」という綽名(痩せていてピッタリ)で、自信を失って婚約者(清水まゆみさん)に励まされるちょっと頼りない先生でした。そして、その14年後、菅原文太さんと左とん平さんは『トラック野郎 男一匹桃次郎』(1977 鈴木則文監督)で共演します。『仁義なき戦い』シリーズ(1973~1974 深作欣二監督)を経て押しも押されぬ大スターとなった文太さんが演じる星桃次郎。今作ではチンピラに絡まれたとん平さんを助けたお礼にご馳走されたフグにあたってしまったり(砂浜に埋まってフグの毒を抜いているときマドンナの夏目雅子さんに出会う幸運も)、餅すすり大会(ライバルの婆さんに扮したのはばってん荒川さん!)の優勝賞金を持ち逃げしたり、とん平さん、すっかり桃さんを翻弄するのでした。(ジャッピー!編集長)