今日は3月11日。2011年「東日本大震災」が発生した日です。

あれから13年が経ちましたが、いまだに約3万人の人たちが避難生活をしています。その多くは原発事故による放射能汚染で帰還困難地域に指定された所に住んでおられた人々です。故郷に戻れず、避難生活中に亡くなられた人も3000人以上いるといいます。これだけ多くの人の人生を狂わせた「原発」を再稼働しようというのですから、この国は正気なのでしょうか。

僕は昨日3月10日、江古田の「ギャラリー古藤」で上映された『朗読劇・線量計が鳴る~元・原発技師のモノローグ』(2022 岨裕士監督)を観に行きました。毎年行われている「江古田映画祭」のプログラムの1本で、今年のテーマ「福島を忘れない」に沿った上映です。この『線量計が鳴る』は中村敦夫さんが脚本を書き、朗読劇として全国公演を続けてきたものを映像化したものです。中村敦夫さんのライフワークといえる朗読劇がコロナ禍で上演できなくなったときに「映像」にしてDVDに残そうと作られた作品です。

本当は今日11日の中村敦夫さんのトーク付き上映が観たかったのですが、既に予約で満席。パイプ椅子を並べた会場は25人ほどしか入らないので、無理もありません。それで、昨日10日に観ることにしたのです。

サブタイトルに「元・原発技師のモノローグ」とあるように、中村敦夫さんはかつて「福島原発」で配管技師として働いていた男性という設定で語ります。なまり言葉で朴訥とした感じで語られるのを聴いているうちに、本当に「福島生まれの配管技師」のように思えてきます。そういう意味で「一人芝居」と呼んでもいいかもしれません。中村敦夫さんは東京生まれですが、戦時中に父親の出身地である福島に疎開され、小・中学校時代を過ごしたので、福島弁はお手のものなのでしょう。

原発で働いていた技師という「役」で、「原発」のさまざまな実態を解説していくのですが、これが分かりやすく、内幕やからくりなど驚くべきことばかりなのです。中で「チェルノブイリ原発事故」に触れるところも出てきますが、中村敦夫さんは「東日本大震災」の翌年2012年、「チェルノブイリ視察団」に参加しているそうですから、脚本を書くにあたって相当に取材、調査をされているのが分かります。このあたり、新聞記者だった父親譲りのジャーナリスト魂を感じます。

子ども時代を過ごした「福島」への思いが強いのでしょう。この『線量計が鳴る』に貫かれているのは、故郷を汚し、人々から故郷を奪った「原発」とその利権に群がる連中への「怒り」です。(この項、続く)(ジャッピー!編集長)