今週のNHK朝ドラ『ブギウギ』で、スズ子(趣里さん)が興行で回ったアメリカから帰国した展開でした。

スズ子のモデルとなった笠置シズ子さんは、1950年(昭和25年)6月16日に羽田から渡米、ハワイやサンフランシスコ、ロスアンゼルス、ニューヨークなどで「日系人慰問公演」を行い、10月17日に帰国しましたから、約4か月のアメリカ滞在だったのです。

僕は劇中、このアメリカ興行が近づき、注目していました。というのは、以前に笠置シズ子さん(歌手引退してからは「シヅ子」)の評伝を読んだときに、このアメリカ行きのとき、ロサンゼルスでメリー喜多川、ジャニー喜多川姉弟と知り合っていると書いてあったのを覚えていたのです。まさか、それらしい人物がドラマに登場するんではないかと思ったのです。

アメリカで日本人向けの興行の手伝いみたいなことをしていた喜多川姉弟と出会ったらしく、その後ジャニー喜多川が日本に帰国して米軍基地の通訳だかをやっていた頃から笠置さんとは親交が続いていたそうです。笠置さんのアメリカ興行には服部良一さんも同行されていますから、このとき喜多川姉弟は服部さんとも知り合いになったと思われます。

昨年、ジャニー喜多川の「性加害」があらためて明らかになり、服部良一さんの次男である服部吉次さんも子どものときにジャニー喜多川からいたずらされていたことを告白しました。その頃、ジャニー喜多川は頻繁に服部家を訪れていて、子ども時代の吉次さんが受けた「性加害」は100回以上に及ぶと言われています。吉次さんは子どもだから、抵抗もできず、口に出すこともできず、辛い気持ちをずっと抱えていたのでしょう。その心の傷を思うといたたまれなくなります。そして、『ブギウギ』に描かれている、こんな昔から「性加害」行為が続いていたのかと思うと、本当にジャニー喜多川は稀代の「性犯罪者」だと思います。

ドラマにジャニー喜多川らしき人物は出てこないのはまあ当然ですね。先週だったか『ブギウギ』で、服部良一さんをモデルにした羽鳥善一(草彅剛さん)が長男のカツオにピアノの練習をさせる場面がありました。この長男は、のちに作曲家となる故・服部克久さんですね。ドラマの羽鳥家ではこの長男の下に女の子二人となっていますが、実際は息子3人、娘2人だったのです。設定を変えたのも、「配慮」だと思いますが、それでも羽鳥家の描写が出てくると、この家のどこか隠れた所でジャニー喜多川が「おぞましい」ことをしていたのか……とよぎってしまいます。ああ、評伝を読まなければ良かったなあ……。

服部克久さんは山下達郎が編曲などでお世話になった方です。ヤマシタ達郎は「ご縁とご恩を大切にする」とジャニー喜多川を擁護していたけれど、服部克久さんの弟さんが100回以上も「性加害」にあっていたことは、どう考えているんでしょうかね。(ヤマシタ達郎のジャニー喜多川擁護については、当ブログ2023年7月20日~22日、10月4日、5日をご参照ください)(ジャッピー!編集長)