ひとつ前の当ブログで、2月18日(日)に「第97回キネマ旬報ベストテン表彰式」を観に行った話を書きました。夜6時から始まったのですが、以前は表彰式だけでなく受賞作品の上映もあったので1日がかりのイベントでした。

5年前の2019年、2月10日(日)に観に行った「第92回キネマ旬報ベストテン表彰式」は文京シビックホールで開催されました。この年、創刊100年を迎えた「キネマ旬報」の主催するこの映画賞は何と、アメリカのアカデミー賞より古く、映画界では伝統ある賞です。

この年(2018年度)の日本映画第1位は『万引き家族』(2018 是枝裕和監督)。安藤サクラさんが主演女優賞を獲得されました。安藤さんはまだ32歳という若さですが、2012年、2014年に続いて、早くもキネ旬主演女優賞は3回目の受賞。助演女優賞も2010年、2012年と2度受賞しています。(しかも2012年は主演・助演ダブル受賞! これはキネ旬史上唯一)主演・助演合わせると今回で5度目の受賞。これは原田芳雄さんに並んで最多タイなのです。(原田さんは1992年、2000年、2011年と主演男優賞3回、1975年、1989年助演男優賞)主演女優賞に限っても、3回受賞は若尾文子さん(1961年、1965年、1968年受賞)、岩下志麻さん(1967年、1969年、1977年受賞)、桃井かおりさん(1979年、1998年、1997年受賞)、原田美枝子さん(1976年、1996年、1998年受賞)、宮沢りえさん(2002年、2004年、2016年受賞)と並んで六人目の最多タイになりました。ちなみに、今年度、『PERFECT DAYS』(2023 ヴィム・ヴェンダース監督)で主演男優賞を受賞した役所広司さんは1996年、1997年、2021年に続き、4度目の主演賞。これは1988年、1993年、1995年、2002年に受賞した真田広之さんとタイです。

授賞式に登壇された安藤サクラさんは目のさめるようなブルーのドレスを着ており、大きな拍手を受けました。トロフィーを受け取り、スピーチをうながされた安藤さん、「緊張して何を言いたいか分からなくなっちゃった……。自分の中で『万引き家族』の信代という役がまだ分からなくてフワフワしていて……」と独特の表現をされていました。ラスト近くの警察でのシーンでは池脇千鶴さん演じる取調官から何を訊かれるか事前に言われていなくて「本当にどうしよう?」と思ったそうですから、「信代」役に入り込んだ境界線を「フワフワ」と表現したのかもしれません。(この項、続く)(ジャッピー!編集長)