ひとつ前の当ブログで、2月18日(日)の午後、「副都心線」に乗っていて、座席の隣に座った男がスマホで通話していた話を書きました。周りを気にするそぶりは一切なく、「傍若無人」という言葉がピッタリな大声で「自分が本を出した」「電通時代のことを書いた」とか喋っていました。けっこうな歳の男と見えましたが、最低限のマナーも守れないなんて、これまでどういう人生を送ってきたんですかね。まあ、余計なことですが。

この日、「副都心線」に乗って渋谷に向かっていたのは、「キネマ旬報ベストテン表彰式」を観るためでした。招待券が当たったので、会場の「渋谷オーチャードホール」に出かけたのです。僕は何回か参加しているのですが、以前は、邦画、洋画のベストワンになった作品などの上映もあり、1日がかりのイベントでしたが、コロナ以降は「表彰式」のみになりましたが、アメリカの「アカデミー賞」よりも古い歴史を持つ映画賞ですし、受賞者をナマで観れるので楽しみにしています。

今回は、主演女優賞の趣里さんが「体調不良」で欠席、何と4回目の主演男優賞の役所広司さんが受賞対象作の『PERFECT DAYS』(2023 ヴィム・ヴェンダース監督)のキャンペーンで海外にいるとのことで欠席と、主演賞のお二人がおられなかったのが残念でした。

役所広司さんはビデオによるメッセージが流れました(ヴェンダース監督も飛び入り!)が、趣里さんの欠席は本当に残念でした。受賞の対象になった『ほかげ』(2023 塚本晋也監督)を僕は昨年12月に観たのですが、そのとき、趣里さんが主演女優賞を獲るだろうなと確信していました。それぐらい圧倒的でした。主演されている朝ドラの『ブギウギ』と同じ時代が舞台で、全く違う役ですがどこか「表と裏」のような役であることも強く印象に残りました。

『ほかげ』は現在も映画館で上映中なので、ネタバレを避け詳しいことは書きませんが、焼跡に取り残された「戦争孤児」を演じた子役の「まなざし」が忘れられません。と思っていたら、この子役の塚尾桜雅くんが「新人男優賞」を受賞。現在7歳、『ほかげ』撮影時は小学校1年生で、何と史上最年少の受賞だということです。

そして、受賞スピーチでは、趣里さん、森山未來さんといった共演者、塚本晋也監督への感謝を伝え、本当にしっかりとしていて驚きました。もちろん事前に考えていたのでしょうが、こんな大舞台で、メモも見ずに堂々と言葉を発しているだけでもスゴイし、かといって変に「子どもらしさを失っている」感じもないのです。これには感心しました。メモを読んでいるだけのどこかの国の首相とは大違いだと思いました。(ジャッピー!編集長)