さらに続けて、当ブログ2021年2月4日に書いた「エノケン(榎本健一さん)、検察官に楯突く!」を以下に再録します。ちょうど、現在放送中の朝ドラ『ブギウギ』にも「エノケン」をモデルにした「タナケン」(生瀬勝久さん)が出てきたところですね。たしかにギョロ目は榎本健一さんに似ていますね。体格は生瀬さんの方がだいぶ大きいけれど。

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昨日の当ブログ「アベ晋ゾーにとっては、『文化』も利用するもの」に書きましたが、2019年6月の末に当時首相のアベ晋ゾーが「なんばグランド花月」で上演中の「吉本新喜劇」に登場しました。それは大阪12区の衆院選補欠選挙の投票日前日でした。この吉本新喜劇に登場したアベがニュース映像で流れたりするわけですから相当な効果があると思います。

まあ、このように「選挙」のためなら何でも利用する体質ですから、カワイ夫妻の買収の原資になっているのが党から出た1億5千万円というのは間違いないところでしょう。昨日、ようやくアンリが議員辞職しましたが、当時の首相アベも「公職選挙法違反」だと思います。(それにしても、アンリに払われた2000万円近い歳費を没収できないのか!)

権力が「文化」「表現」に介入することの怖ろしさは、日本人は戦前に経験したことです。「大正デモクラシー」といわれた自由な雰囲気から一転、昭和に入ってすぐの不況から盛り上がった左翼運動に対して締めつけが厳しくなります。さらに1931年(昭和6年)の「満州事変」以後はちょっとでも反戦的とみられる団体、活動にくまなく目が光らせるようになります。当時、多くなっていた「左翼演劇」も上演ごとに台本を特別高等警察に提出し検閲を受けることになります。許可をもらわないと上演が出来なかったのです。しかも、劇場内に「臨監席」というのがあって、検閲官が座っていて、検閲を通った台本通りにやらないと注意、場合によっては即刻中止となったのです。権力に見張られながらの上演です。「表現の自由」も何もあったものじゃありません。

当時、大人気のエノケンこと榎本健一さんは、左翼思想にはいっさい関係ありませんでしたが、アドリブでお客さんを笑わすのが得意でした。臨機応変に台詞を即興で言ったり、客に話しかけたりで爆笑させていたのです。これに対して、「台本にない」と注意され、時に警視庁に呼ばれ始末書を書かされたそうです。ある日、警視庁に呼び出された榎本さん、検閲官に「おい、エロケン、お前はまだそんなことやっているのか」と怒鳴られたそうです。当時のレビューというのは、ダンサーたちの踊りも見せていたので、上から目線の警官は「エロケン」とバカにして呼んだのです。これに対して、エノケンさんは怒って警官につかみかかって「やい! エロケンとは何だ! ふざけたこと言うな。職権を笠にきて弱い者ばかりいじめやがって。お前なぞ生かしちゃおかないぞ。俺はもう役者を辞めてお前をぶっ殺してやる!」と叫んだそうです。あまりの迫力に警官はすごすご部屋を出ていったそうです。

こういった受難の時代をおくった先輩たちがいて、「お笑い」の歴史が紡がれているのです。吉本興業はそんな先人たちにリスペクトしてほしいですね。「お笑い」が弱い者いじめする方にまわっていいのでしょうか。 

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マツモト人志が女性をモノのように扱っていたことが報道されていますが、説明なしに「活動自粛」で姿を消しました。まさに悪い政治家みたいですよねえ。さすがは「吉本興業」の対応ですね。きっと、今頃、裏でいろいろ工作しているのでしょう。

 (ジャッピー!編集長)