ひとつ前の当ブログに続いて、2021年12月28に書いた『「アンドロイド0指令」と「怪獣使いと少年」、両作に出ていた植村謙二郎さん』を以下に再録します。

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ひとつ前の当ブログで、『ウルトラセブン』の「アンドロイド0指令」に登場した「チブル星人」、『帰ってきたウルトラマン』の「怪獣使いと少年」に登場した「ムルチ」は共に沖縄に由来するネーミングという話を書きました。

両作の脚本を書かれたのが沖縄出身の上原正三さん。そして、もう一つ、両作に共通することがあります。 「怪獣使いと少年」で、宇宙人が姿を変えていた金山老人を演じていたのは植村謙二郎さん。古い映画がお好きな方なら、よくご存知ですね。戦前から脇役として映画に出ておられて、戦後は大映に復帰、黒澤明さんが大映で撮った『静かなる決闘』(1949 黒澤明監督)では、けっこう重要な役を演じていました。その後、製作再開した日活に移籍、『洲崎パラダイス 赤信号』(1956 川島雄三監督)で、飲み屋の女将(轟夕起子さん)の行方不明になっていた亭主に扮していたといえば、お分かりでしょうか。日活アクション、東映の任侠ものなど、かなりの作品に出ておられますね。だいたいが悪役です。「怪獣使いと少年」に出た1971年というと、もう老親分という役どころで、『流血の抗争』(1971 長谷部安春監督)にも出ていました。

そして、植村さんは『ウルトラセブン』の「アンドロイド0指令」にも出ておられていてでも、こちらでも実は宇宙人の老人役です。「おもちゃじいさん」と呼ばれる老人で、近所の子どもたちにおもちゃを配っています。実は、この「おもちゃ」は兵器で、洗脳した子どもたちに大人たちを襲わせて地球を征服しようと企んでいるのです。大人たちは自分のかわいい子どもに手を出せないだろうという巧妙な作戦です。もちろん、ウルトラセブンの活躍で防ぐのですが、本当にあったら……と思うと不気味な話ですよね。

今思うと、ちょっと『光る眼』(1995 ジョン・カーペンター監督)を思わせますが、過去にも映画化されている『光る眼』の原作が、ジョン・ウインダムさんの『呪われた村』なのです。この「おもちゃじいさん」の正体が「チブル星人」。沖縄語で「頭」を意味する「チブル」を名に持つこの宇宙人は大きな頭に細い足の2頭身の、一目見たら忘れられない形態でした。

「怪獣使いと少年」の植村謙二郎さんのキャスティングは、「アンドロイド0指令」から繋がっているように思います。 

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上原正三さんが書いたこの『アンドロイド0指令』は基地を押し付けられた沖縄を暗喩したように思えます。上原正三さん(2020年1月2日没、享年82歳)や『ノンマルトの使者』を書いた金城哲夫さん(1976年2月26日没、享年37歳)が生きておられたら、辺野古埋め立てに強制的「代執行」が入る、国家によって踏みにじられる沖縄の今の状況をどう考え、どのような話をお書きになられるだろう。そんなことを考えてしまいます。とにかく、あまりにも不当な判決に抗議します。(ジャッピー!編集長)