ひとつ前の当ブログに続き、当ブログ2021年7月13日に書いた「『ノンマルトの使者』、地球人こそが侵略者かもしれない」を以下に再録します。

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ひとつ前の当ブログで、『ウルトラセブン』第42話「ノンマルトの使者」に触れました。

失言、暴言のデパートのような男・アソ―太郎が、かつて「日本は2000年にわたって同じ民族、同じ言語で、同じひとつの王朝を保ち続けている国など世界中に日本しかない」などと発言したことで思い出したもです。その少し前に政府が「アイヌ民族支援法」でアイヌ民族を先住民族と明記したので、わざとこういうコメントを発したのでしょう。確信犯というやつです。

さて、「ノンマルトの使者」は、名作揃いの『ウルトラセブン』の中でも有名な傑作ですからご存知の人も多いと思います。海底を開発しようと調査船を出していると、謎の少年が「調査を止めろ。海の底は本当の地球人であるノンマルトのものだ」と警告を発します。モロボシ・ダン(森次浩司さん)は、故郷のM78 星雲では「ノンマルト」とは地球人を意味するので、「ノンマルト」こそが人類より前からいた地球の「先住民」であると気づきます。

しかし、ウルトラ警備隊は当然のように「ノンマルト」の海底都市を攻撃し、壊滅させるのです。ノンマルトの海底都市を攻撃し壊滅させる場面では、いつも正義の側のウルトラ警備隊が破壊者にみえました。特に、中山昭二さん扮するキリヤマ隊長の顔が悪魔のように見えたのを覚えています。「海底は我々のものだ!」と叫ぶ様は、狂信的なナショナリストという感じでした。

この作品を観たとき、当たり前のように暮らしている地球人こそが「侵略者」であるというメッセージは本当に衝撃的で、考えさせられました。僕は、高校教師時代、教室でこの作品のビデオを見せて、生徒たちに考えてもらったこともありました。

脚本の金城哲夫さんがご自身の出身地・沖縄と本土の関係を暗喩しているといわれていますが、先住民「ノンマルト」(=マース:古代ローマの軍神から戦争の意。それにノンという否定接頭辞)というネーミングからも「非戦」「平和」への願いがこめられていると思います。

今、日本政府が沖縄県民の民意を無視して、米軍基地のために辺野古の海を埋め立てようとしているニュースを見ると、僕はどうしてもこの「ノンマルトの使者」を思い出してしまうのです。 

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国の全面勝訴で、沖縄辺野古埋め立ての「強制代執行」となってしまうこの理不尽。要するに、アメリカの方が沖縄の民意より大事というわけですか。沖縄を「捨て石」にした太平洋戦争以来、今まで沖縄に住む人たちにどれだけの犠牲と負担を強いてきたのか考えたことはあるのかね。この権力による「暴力」がまかり通っていいのでしょうか。(ジャッピー!編集長)