ひとつ前の当ブログに続いて、12月9日(土)に「ポレポレ東中野」で観た『ヤジと民主主義 劇場拡大版』(2023 山﨑裕侍監督)初日トークイベントについて書きます。

監督の山﨑裕侍さんは本作のナレーションを落合恵子さんにオファーした経緯について、「誰にやってもらおうかなと考えたとき、俳優さんとかいろいろ選択肢はあるけれど、僕は読む方の人格というか、経験やその方の発言をふまえないと、作品に魂が入らないんじゃないかと思いました。ずっと前に落合恵子さんの本を読んだときに”人権がいかに大事なものか”ということが書かれていてそれが心に残っていました」と述べました。

落合さんの方は普段はナレーターという仕事はずっと断ってきたそうです。しかし、今回のオファーには「今やらなければならないんだという山﨑監督の熱い思いが伝わってお引き受けしました。そして、今、オファーを受けて良かったと思います。こんなに多くの人と思いをシェアできて」と、満員の館内を見渡しながらおっしゃいました。

このあと、ひとつ前の当ブログで紹介した「エラそうにしている連中」への怒りの発言があるのですが、もうひとつ印象に残った言葉があります。

このドキュメンタリー、アベ晋ゾーに「ヤジ」を飛ばした2人目の桃井希生さんという女子大生の一種の「成長物語」もあって、そこがこの映画の優れたところでもあります。元々は「吃音」があり、人前で話すしたり表現することが苦手だった桃井さんが「声をあげなければ」と勇気を出し、そこから少しずつ自信がめばえ、仲間もできてという過程が映し出されます。

落合さんはこの桃井さんの「成長」にも触れ、「このように外に出て、ドアを開け、また次のドアを開け……ゆっくりでいいの。そんなに急がなくてもいいからね。はるか年上の先輩として思います」と自分の世界を広げていく人へのエールを送られました。

この言葉、多くの若い世代に伝わってほしいですね。何かと「急かされて」大事なことを見失うことも多いけれど、時間はたっぷりあるのだし、じっくりと「自分」を見つけていってほしいですね。

落合恵子さんのトークが聴けて、上映2時間前に行ったかいがありました。あ、今日はNHK『ラジオ深夜便』に落合恵子さんが出られる日だ。聴かなければ。(ジャッピー!編集長)