このところの当ブログで、8月9日(水)に『第12回戦争の記憶と記録を語り継ぐ映画祭』第1日で坂本龍一さん追悼として上映された『戦場のメリークリスマス』(1983 大島渚監督)を久々に観たという話を書いています。

1983年に封切されたとき、「男騒ぎの映画」というようなキャッチコピーがついていたと記憶しています。その通り、この映画の出演者は男だけで、女性は一切出てきません。しかし、女性が出るシーンも撮影されていたのでした。しかもベッド・シーンです。ロレンス(トム・コンティさん)が過去の女性との関係を回想するシーンですが、最終的にその場面はカットされて、ロレンスが台詞で語るだけになっています。その幻のシーンのスティール写真を見ることができました。

8月4日(金)に「国立映画アーカイブ展示室」で開催されている『没後10年 映画監督大島渚』展を見に行ったのです。この展示は4月11日(火)から行われていて、8月6日(日)が最終日ですから、ギリギリ間に合ったのです。

展示の内容は『愛のコリーダ』(1976 大島渚監督)以降、『戦場のメリークリスマス』などの資料が数的に多かったです。上記のスティール写真も掲示されていた他、『戦場のメリークリスマス』に感動した女子高生たちの手紙(丸文字!)も展示されていました。こういった若い世代の反応が嬉しかったらしく、大島監督は大事にとっておいたそうです。

一方、ひとつ前の当ブログで取り上げた『太陽の墓場』(1960 大島渚監督)などの初期作品は年が経っているからどうしても、残っている資料も少ないのでしょう。それでも、『日本の夜と霧』(1960 大島渚監督)のセット平面図が展示されていて、あの討論シーンの「長回し」が綿密な位置取りとカメラワークで撮られたことが分かったのは収穫でした。

また、『絞死刑』(1968 大島渚監督)の頃、「金嬉老事件」が起こったとき、大島監督が擁護してくれたことに対して金嬉老さんが出した「お礼の手紙」が展示されていて、これは見入ってしまいました。

面白いところでは、『愛のコリーダ』のラスト、阿部定(松田英子さん)に切断される男性局部の模型の代金¥70000という領収書が展示されていました。本邦初のハードコア映画ということで、あとで警視庁からいろいろ難癖をつけられることを予想して、どんな細かい支出もおろそかにせず、きっちり領収書を残していたとのことです。

この「映画監督 大島渚」展、じっくりと見て回ったので、次に観る予定の映画の上映開始時間を過ぎてしまい、せっかく銀座に出てきたのに映画を観ずに帰りました。(ジャッピー!編集長)