ひとつ前の当ブログに続いて、『サイボーグ009』について書いた過去のブログを再録します。2021年4月12日に書いたもので、タイトルは「『憲法第9条』が流れたアニメ『サイボーグ009』」です。

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ひとつ前の当ブログで書きましたが、石森章太郎さんの漫画『サイボーグ009』は、優秀な科学者たちが集められ、兵器の製造によって利益を得ている会社、いわゆる「死の商人」たちによってサイボーグを作らせられます。サイボーグは兵器として作られ、未来も戦争が続くようにという目論見です。戦争が続く限り、自分たちが作る戦闘機や戦車、戦艦が売れて儲かるからです。そんなことに利用されようとなる寸前に、ギルモア博士がサイボーグたちの意識を覚醒させて反旗を翻します。ちょっとウロ覚えですが、そんな風に始まったように思います。

なので、サイボーグたちのそもそもの敵は「死の商人」たちでした。世の中に戦争で儲けている会社や銀行家などがいるということを子供に教えてくれました。その後、アニメになった『サイボーグ009』もそれまでの子供向け空想ヒーローとはちょっと一味違うというか、大人が見てもいいような雰囲気がありました。

その中で有名な回があります。「太平洋の亡霊」という話です。

第二次世界大戦で戦死した英霊たちが戦闘機や戦艦に乗り移って大暴れするというストーリーでした。特攻で息子を失った科学者が英霊たちの想念を操っていたか何かで(ちよっとこの辺あいまいな記憶)攻撃を仕掛け、009たちが説得を試みるという展開ですが、その中で「憲法で戦争を放棄し、平和な日本になると思ったから命を捨てることができたんだ。もう軍隊を持たず、平和な世界になってくれないと俺たちは犬死にになってしまう」と特攻で亡くなった若者が訴えます(テレパシー? この辺も曖昧です……)。 そして、「憲法第9条」の全文が流れた!のですから、そのメッセージは明快です。

昭和43年あたりというと、まだ戦争経験のある方が多かったし、ベトナム戦争も続いていました。そんな時代、子供番組でもきちんと「平和」「戦争放棄」を伝えていたのです。そういえばアニメ『巨人の星』なんかも毎年、終戦記念日のあたりになると「戦争」に関する挿話を入れていました。今だったら、官邸の意向をくんだ「総務省」から、放送局に圧力がかかっちゃうかも。憲法9条を変えようという人たちは、いっぺんこの「太平洋の英霊」を観て、戦争で貴重な若い命を落とした人が、何を未来に望んだかを考えるべきだと思います。 

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今、僕はTVアニメは全く観ないんですが、8月だからといって、上に書いたような「戦争」をテーマにした特別作品はあるんですかね。普通の番組でも「戦争」の記憶を扱ったものは少なくなっているしなあ。これを「風化」と呼ぶのでしょうか。(ジャッピー!編集長)