ひとつ前の当ブログで、吉永小百合さんの著書『私が愛した映画たち』(立花珠樹さん構成/集英社新書)の巻末のフィルモグラフィに『俺は眠たかった‼』(1970 萩本欽一監督)が載っていなかったことについて書きました。たしか、一瞬だけ吉永小百合さんが出ていたと記憶しているのですが、いわゆる「カメオ出演」ということでリストから抜かしたのかもしれません。

そんな「カメオ出演」というと、市川雷蔵さんです。大映のトップスターの市川雷蔵さんは、自分が一緒に仕事をした助監督が監督に昇進したときは、お祝いに必ず「カメオ出演」(もちろん、ノー・ギャラ)されたそうです。大スターながら、裏方さんを非常に大事にした方だったとも言われていますし、その気遣いはスタッフにとっては嬉しかったでしょうね。また、当時の観客は、映画を観に行って、ポスターにもどこにも名前の出ていない雷蔵さんがちょこッと映ったのを観て得した気になったでしょう。

僕も何本か、雷蔵さんの「ご祝儀カメオ出演」作を観たことがあります。とても面白かったので覚えているのが、『旅はお色気』(1961 黒田義之監督)です。

冒頭、京都所司代が自分たちの悪事を告発するため江戸に送られた「まり姫」(浦路洋子さん)を追え!と命令を出します。この映画の主人公は小林勝彦さん演じる新之助。剣の腕はいいがノンビリした若侍です。叔父から手紙を江戸に持っていくよう頼まれ出発します。

路上の易者(島田竜三さん)には「大変な女難の相が出とるぞ。それも、いろは……48人じゃ」と予言し、心配じゃからと同行します。「新之助女難帖」なる手帖をつくり、「ワシが作戦を立て、そなたが実行するのじゃ」とか言いながら、いつの間にか軍師のようになります。(この項、続く)

(ジャッピー!編集長)