ひとつ前の当ブログで書いたように、吉永小百合さんの新作『こんにちは、母さん』(2023 山田洋次監督)のポスターや予告編を観ると、吉永さんの若々しさに驚きます。

吉永さんは1945年生まれで「戦後」と同い年、今年78歳になられるとは思えないです。何と初めて「おばあちゃん」役だということです(孫役は永野芽郁さん)が、若々しさは相変わらずです。

そんな吉永さんですが、『北の桜守』(2018 滝田洋二郎監督)では「認知症」になるという役でした。これは何というか……ちょっとこたえるものがありました。僕の母親が認知症で重なるものがあったという個人的な事情もありますが、『キューポラのある街』(1962 浦山桐郎監督)の「ジュン」=吉永さんというイメージがあるからでしょう。あの瑞々しく前向きに生きたジュンが……という思いにかられてしまうのです。

まさにその2本立てを池袋の新文芸坐で観ました。2018年8月10日(金)、毎年この時期に開催されている「新藤兼人平和映画祭」(現・「戦争の記憶と記録を語り継ぐ映画祭」)の第7回で、『キューポラのある街』(1962 浦山桐郎監督)、『北の桜守』(2018 滝田洋二郎監督)の2本の上映のあと、吉永小百合さんのトークショーがありました。場内は満員、既に前日までに前売りで全席が売り切れ、当日券はなしという状況でした。

何度も観ている『キューポラのある街』ですが、劇中、貧しさの中でもひたむきにに生きるジュンと、演じた吉永さんが一体化した感じで、この吉永さん=ジュンに感情移入しない人はいないんじゃないかと思います。

トークショーの中で吉永さんが、この作品を観た永六輔さんに「もう、あなた、女優やめなさい」と言われたというエピソードを紹介していました。永さんはあまりに感動して「もうこれ以上のものは出来ないだろう」という思いで言ったようだとのこと。吉永さんにとっても「とても大きい存在の映画」と語っておられました。(この項、続く)  (ジャッピー!編集長)