6月29日の当ブログで、水原弘さんが歌手としてスターの座につきながら、豪遊で借金を重ね、最後までご自身の美学を貫き42歳という若さで壮絶に亡くなったことを書きました。

水原弘さんは『黒い花びら』で1959年度の第1回レコード大賞を受賞しましたが、第3回の受賞者が『君恋し』フランク永井さんです。(ちなみに第2回は松尾和子さん&和田弘とマヒナスターズの『誰よりも君を愛す』です) 昔、ウクレレ漫談の牧伸二さんが♪水原弘は低音の魅力~、フランク永井も低音の魅力~、牧伸二は低能の魅力~と歌い笑わしてくれましたが、本当にこのお二人は低い声で「大人」の歌手という感じでしたよね。

水原弘さんは長年の深酒がたたったのか1978年6月24日に肝硬変で亡くなりますが、フランク永井さんも人生の後半は暗転してしまいます。1985年、53歳のときに自宅で首吊り自殺をはかるのです。奥さんに発見され、一命はとりとめますが、脳に障害が残り、以後は車椅子生活、会話することも不自由になってしまいます。もちろん歌うこともできません。フランク永井さんの歌手としてのキャリアは突然に終わってしまったのです。

たしか、自殺未遂の理由は女性関係でした。愛人との間に子どもがいることが週刊誌で報じられ、養育費とか金銭的なことでも揉めていたとかでした。このニュースを知ったときは僕も驚きました。フランク永井さんは遊び人という感じはなく、真面目な家庭人というイメージでしたから。おそらく、ご本人もそういうイメージであることを分かっていたのでしょう。また、真面目だからこそ、こういう報道が出て「死ぬしかない」と思ってしまったのかもしれません。変な話ですが、これが普段から「女遊び」をするとか「金遣いが荒い」とかワイルドなイメージを持たれていたら、何とかやり過ごしていたのではと思います。

先日、逮捕されたイチカワ猿之助にしても、自分のイメージや「プライド」というものが「自殺」という選択に向かわせたように思います。もちろん、その心の葛藤をうかがい知ることはできませんが。

フランク永井さんは2008年に76歳で亡くなりますが、その間にも介護していた奥さんが鬱病になり自殺未遂するなど不幸が連鎖してしまいました。自分が死んだ後の家族や周囲のことなど考えれば「自殺」は究極の自分勝手だと思いますが、そこに思い至らないほど追いつめられてしまったのか。(ジャッピー!編集長)