ひとつ前の当ブログで、京マチ子さんと久我美子さんが姉妹役を演じた『あにいもうと』(1953 成瀬巳喜男監督)を取り上げました。

今回は、京マチ子さんと若尾文子さんが姉妹になった映画です。『浅草の夜』(1954 木村恵吾監督)です。2つ前の当ブログで紹介した『牝犬』(1951 木村恵吾監督)では、京マチ子さんが浅草の踊り子に扮し、その豊満な肉体で真面目な志村喬さんの人生を狂わせてしまうヴァンプ役でした。「大阪少女松竹歌劇団」出身の京さん、とにかく、初期はダンサー役が多く、そのグラマラスな肢体をスクリーンいっぱいに躍動させていました。

『浅草の夜』の京マチ子さんも浅草の踊り子役です。もちろんダンスのシーンもあります。が、京さんの妹役の若尾文子さんは呑み屋の手伝いをしています。(呑み屋の女将は浦辺粂子さん) 京さんの在籍する劇場の台本を書いているのが鶴田浩二さんで、支配人から客の入りが悪くなったと「もっとエロ、グロものを書け」などと言われます。

鶴田さんは怒ってホンをびりびりに破きます。先輩のベテラン、見明凡太朗さんが「気持ちは分かるが、台本を破いちゃ踊り子たちも困るし、お客さんに見せられない」と説きます。この見明さん、京さんと鶴田さんについて「君達はいつもケンカだなあ。まあ仲が良い証拠だ」と、二人のツンデレ関係をあたたかく見守っています。他の踊り子や裏方にも信頼されている役で、見明さんがいい味を出していました。

一方、悪玉に扮するのが志村喬さんで、『牝犬』の気弱な人から一転、劇場を牛耳ってるヤクザの親分を憎々し気に演じます。(この項、続く) (ジャッピー!編集長)