ひとつ前の当ブログで、『土を喰らう十二ヶ月』(2022 中江裕司監督)の沢田研二さんが「日本アカデミー賞」の主演男優賞にノミネートもされなかったことに納得がいかないと書きました。

「日本アカデミー賞」には、以前から不可解な選出が目立つ(当ブログ4月23日~24日参照)ので、今に始まったことではないですが、近年「反政権」的な曲を歌っている沢田さんを意図的に排除した可能性はあります。何しろ、今やテレビ局はじめメディアは政権を横目でうかがうような「委縮」機関になっていますから。

一方、沢田研二さんは「キネマ旬報ベストテン」の主演男優賞を見事に受賞したのは嬉しかったです。僕は『土を喰らう十二ヶ月』を観て即、「主演男優賞だ!」と思ったのですが、実はもうひとつ願ったことがありました。それは、田中裕子さんとのダブル受賞です。

『土を喰らう十二ヶ月』の1か月ほど前に、『千夜、一夜』(2022 久保田直監督)を観て、田中裕子さんの演技にもうならされたばかりだったのです。この映画で田中裕子さんが扮したのは、失踪した夫を30年間ずっと待っている女性で、イカ加工工場で働きながらひっそりと生きているという設定です。

その「待ち続ける」中にも、複雑な感情の推移があり、それを田中さんがうまく表現されていました。もちろん、田中さんは既に演技に定評のある方ですが、抑えた中にリアルな感情が渦巻くような演技に、あらためてスゴイなあと思ったのです。

長年(もう50年以上)「ベストテン発表号」を購入しているのですが、1976年ベストテン発表号以来、基本的には主演女優賞、主演男優賞の受賞者が揃って表紙を飾ることになっているのです。その1976年ベストテン発表号は、『青春の殺人者』(1976 長谷川和彦監督)の原田美枝子さんと水谷豊さんのツーショットでした。(このお二人が、本当に良い表情をされています!)

なので、ジュリーと田中裕子さんが揃って受賞されれば、ご夫婦での表紙となるので、ひそかに願ったのです。(実現すれば、2018年ベストテン号の安藤サクラさん&柄本佑さん以来)

結果、主演女優賞は『ケイコ 目を澄ませて』(2022 三宅唱監督)の岸井ゆきのさんがブッチギリで受賞。 田中裕子さんは3位の得票でした。『ケイコ 目を澄ませて』は僕も観て岸井さんの演技に圧倒されたので納得ですが、ジュリー&田中裕子さんのツーショット表紙、見たかったなあ。(ジャッピー!編集長)