ひとつ前の当ブログの続きです。

先週の金曜日、4月14日の夜に放送されたNHK『アナザーストーリーズ』は「高倉健が国民的名優へ飛躍した名作『幸福の黄色いハンカチ』秘録」という回でした。これは見逃せないとチャンネルを合わせました。

『幸福の黄色いハンカチ』(1977 山田洋次監督)で高倉健さんと共演した武田鉄矢さんの証言の他に、山田洋次監督もインタビューに応えています。この物語の主人公を誰にするか考えているときに、スタッフが「高倉健さんはどうだろう」と意見を言ったのが切っ掛けでオファーをしたそうです。そして、出演交渉の席で、健さんはマネージャーも誰も通さず「即答」。それも「私は体をいつ空ければいいですか」と言ったそうですから、実にカッコいいですねえ。また、山田洋次監督には「山田さん、今日は嬉しい日です」と言ったそうですから、ひとつ前の当ブログに書いたように、健さんにとっては「母親にも胸をはって観てもらえる」映画のオファーが本当に嬉しかったのかもしれません。

そして、番組では健さんが使っていた『幸福の黄色いハンカチ』の台本を山田監督に見てもらいました。山田監督はページを繰り、「書き込みやメモは少ないけれど、よく読み込んでいるなあ」と感想をもらしました。

この台本、劇中、妻役の倍賞千恵子さんが言う「おかえり」というセリフに線が引かれてあったのです。健さん自身のセリフではないのに「なぜ?」と思いますよね。これについて、武田鉄矢さんは、撮影中に健さんとの会話で思い当たることがあると証言されていました。健さんが「この映画のテーマは何だと思う?」と武田さんに訊き、健さんは「“ただいま”なんだよ。奥からの“おかえり”の声が待っている。それが幸せなんだ」とおっしゃったそうです。なるほど、そのテーマを胸に倍賞さんの「おかえり」というセリフにラインを引いたのですね。そして、それはスター、健さん自身がひそかに追い求めた「幸せ」のかたちだったのでしょう。(ジャッピー!編集長)