ひとつ前の当ブログで取り上げた、野際陽子さんの最後の映画出演作『いつまた、君と ~何日君再来~』(2017 深川栄洋監督)に、こんな場面がありました。

向井理さんの祖母の人生を辿った作品で、野際陽子さんが現在の祖母を演じています。野際さんの若い頃を尾野真千子さんが演じ、その夫・吾郎を向井理さんが演じています。その吾郎が戦後、始めた「いこいの家」というお店、トコロテンを出し、夏はかき氷、秋になるとおでんなどを出しますが、商売はうまくいきません。

物資も不足している時代で、仕入れも思うようにいかず、「ヤミのものを使えば何とかなるかも」と妻の朋子(尾野真千子さん)が言うと、「それはダメだ。後ろめたいことをしたら、子供たちに嘘をつくなとか、ずるいことをするなと言えなくなる」と吾郎は答え、朋子も「そうだね」と納得します。不器用でも正しく生きる、真面目に誇りをもって生きる……時代の波に翻弄されながら命を繋いできた庶民の勤勉さは、そういった「子供に対して恥ずかしいことは出来ない」という大人の矜持に裏打ちされていたのだと思います。

それが、今はどうでしょう。権力の座についている者が、自分のお友だちだけを優遇するズルをする。それを隠すために公文書も改ざんする。「丁寧に説明する」と口で言うだけで責任を果たそうとはしない。ウソをついたり、はぐらかしたり、デタラメな答弁で逃げ回ったり……。

こんな大人の態度は「子供に対して恥ずかしく」ないのでしょうか。せっかく選挙権が18歳に引き下げられて、若い世代の人たちが有権者になったら、こんな大人の醜い姿を見せられるのです。悲しいことに、政治家以前に人間の品格を疑いたくなるような輩が目立つ今の日本です。どこが「美しい国」なのでしょう? こんなこと書くと、地獄にいるアベ晋ゾーから「こんな人たち」と指をさされてしまいますかね。(ジャッピー!編集長)