このところの当ブログに書いたように、2019年7月に「人生初の手術、入院生活」を送りました。

これまで病院に縁がなかったので知らなかったのですが、今の病院って、何かするたびに「名前」と「生年月日」を訊かれるのですね。「患者間違い」による事故が起こらないよう徹底されているのでしょう。診察室に入ると、「お名前と生年月日をおっしゃってください」と言われ、僕がそれを言って診察が開始されます。病室のベッドに看護士さんが来て点滴薬を変えてくれるときも「名前と生年月日」を言って、それを薬に貼られたシールの名前と確認します。本当に徹底していて、ほんの5分前ぐらいに会ったのに、また同じ看護士さんが病室にやってきて「お名前と生年月日を」ときかれるのです。ここまでやる!?という感じですが、命に関わる職場ですから万が一ということがあってはいけませんから当然なのですね。

と、そんな風にこの入院期間、毎日何度も「自分の名前」を口にし、今までこれほど自分の名前を声に出して言ったことはなかったなあと気が付きました。書類や原稿などで「自分の名前」を書く機会に比べると、口に出して言ったことは少なかったなあと。そして、病院のベッドに横たわりながら、「自分の名前」を付けてくれた親に思いを馳せたりしたのです。

僕の名前は母親がつけてくれたのですが、石坂洋次郎さんの小説『陽のあたる坂道』の主人公にちなんでつけたのです。坂道をあがった所にある一見恵まれた家ですが、主人公の次男坊が妾腹で、長男、妹とちょっと複雑な関係になっています。ちょっとひねくれた所もありますが、根は屈託なく真っ直ぐな主人公。漢字は違いますが、僕の名前はその主人公と同じ「読み」です。(この項、続く) (ジャッピー!編集長)