ひとつ前の当ブログの続きです。

旧文芸坐に併設されていた、映画本や関連商品を扱うお店「文芸坐しねぶてぃっく」の店長だったE氏が出した、雑誌の「仲間募集」に応じて映画ミニコミ誌『ジャッピー!』に参加したことを書きました。

旧・文芸坐の番組表である「しねうぃーくりー」には毎号スタッフの書くエッセイ欄があり、そこにE氏はかつて、「映画で受けた恩は映画で返したい」というようなことを書いていました。僕は「ジャッピー!編集長」を引き継いで、この言葉をいつも思い出していました。そんな思いは、特に、安くいろんな映画を見せてくれた「名画座」への思いと重なります。僕の世代では、「名画座」に通い、そこで出会った映画たちにどんなに救われたり、励まされたか分からないのです。ですから、「名画座」への思い入れは大きいのです。

宮崎祐治さんもかつて『シティロード』で「名画座」についての連載をしていて、その中で「観客が減少する中、名画座のスタッフがいかに良い番組を組もうか頑張っているか」と書き、エールを送っていました。僕はこの「名画座愛」だけで、宮崎さんは信頼できる人だと感じました。

2018年、「しねぶてぃっく」でE氏の部下だったN氏が亡くなったことを聞きました。旧・文芸坐のあと、「シネマスクエアとうきゅう」や厚木の映画館、そして2017年、新宿の「シネマカリテ」で17~18年ぶりに再会したばかりでした。初期の『ジャッピー!』にも寄稿してくれた人でした。おそらくまだ40代だったと思います。「しねぶてぃっく」の記憶からE氏や、N氏のことを思い出しました。

こうして生き残っているのに、お前は映画への恩を返しているか、名画座への恩を返しているかと自分に問いかけ情けない気持ちです。人生の残り時間は少なくなってきましたが、何とか「ジャッピー!」を復活させたいと思っています。  (ジャッピー!編集長)