ひとつ前の当ブログで、ビートルズの「武道館公演」をめぐるドキュメンタリー映画『ミスター・ムーンライト 1966ザ・ビートルズ武道館公演 みんなで見た夢』(2023 東考育監督)に、高嶋弘之さんが証言者のひとりとして出ていたことを書きました。

僕がこの映画を観たのが1月29日(日)ですが、続けざまに今度はテレビで高嶋弘之さんを観ました。2月10日(金)にNHKから放送された『アナザーストーリー選』です。「イムジン河の奇跡 発売中止となった名曲 その数奇な運命」と題されていて、かつて「フォーク・クルセダーズ」が歌ったレコードが発売中止になった経緯、その後に再発されるまでを辿ったドキュメンタリーです。

主に3人の方に焦点があてられます。その一人目が松山猛さんで『イムジン河』に日本語詞をつけた方です。松山猛さんが京都の高校生だったとき、サッカーの試合の申し込みに京都朝鮮高に行ったのです。松山さんの通っていた学校にも多くの在日の生徒もいたし、スポーツで交流できればと思ったのです。

試合の申し込みが済んで、帰ろうとした松山さんの耳に聞こえてきたのが『イムジン河』の旋律だったのです。美しい曲だなと思った松山さんは、朝鮮高の生徒から譜面をもらい歌詞も辞書をひきながら自分なりに訳詞をつけたのです。

こうして、「フォーク・クルセダーズ」の『イムジン河』が生まれ、それを聴いた高嶋弘之さんは即座に「あ、これは売れる!」と感じたと、番組の中で語っておられました。「きれいなメロディー、底辺に流れる“なぜ2つの国に分かれているのか”という悲しみ」に惹かれたそうですが、まず「売れる!」と思ったことがディレクター魂ですね。高嶋さんは当時は邦楽部門の担当になっていたのです。

そして、高嶋さんは『イムジン河』の前に『帰って来たヨッパライ』を出そうと戦略を考えます。『帰って来たヨッパライ』のエンディングのお経が♪イッツビーナ・ハードデイズナイト~となるのは、高嶋ディレクターとビートルズの関わりを考えると面白いですね。(ジャッピー!編集長)