2月8日の当ブログ「今日2月8日、『第1回日劇ウエスタン・カーニバル』から65年」で書いたように、「ウエスタン・カーニバル」を日劇という大劇場で開催、成功に導くのに大きな貢献をしたのが渡辺美佐さんです。

渡辺晋さんの奥様、渡辺美佐さんは当時既に渡辺プロの代表として「ロカビリー・マダム」と呼ばれて、ブームの立役者でした。その美佐さんをモデルとした映画が『女は抵抗する』(1960 弓削太郎監督)です。美佐さんをモデルとした美枝を演じるのは若尾文子さん、ジャズ・バンドのメンバーで美枝に苦言やアドバイスをするうちに恋仲になるのが川口浩さん、つまり渡辺晋さんがモデルです。

ベテランの興行師だった父が失意のうちに亡くなり、女子大生の美枝が跡を継ぎ、米軍キャンプ巡り、人気バンドとの契約などに奮闘し、外タレの興行で騙され負債を負ったりしながらも、徐々にプロダクションが整っていきます。

石原裕次郎さん主演の『嵐を呼ぶ男』(1957 井上梅次監督)などにも出てきますが、人気バンド同士のジャズ合戦を企画し、見事に川口浩さんのバンドが勝ち、相手のバンドが所属するライバル・プロの代表が美枝の父を裏切った男(高松英郎さんが演じてます)なので、復讐を果たした形になります。そして、劇場側の反対を押し切り、「ウエスタン・カーニバル」を企画、成功させるのです。平尾昌章さんや山下敬二郎さん、井上ひろしさん、ダニー飯田とパラダイス・キングなどが登場、その熱狂をきっちり再現しています。

こういったサクセス・ストーリーなのですが、面白いのは「ロカビリー・ブーム」がアッという間に下火になるところまで描いているところで、ラストは美枝がザ・ピーナッツをデビューさせようとするシーンです。ロカビリーから次のポップスの時代に進むことを示して映画は終わります。当時の音楽の流行の移り変わりが分かって興味深いです。(ジャッピー!編集長)