ひとつ前の当ブログで、2019年前期の朝ドラ『なつぞら』で広瀬すずさんが演じたヒロイン・奥原なつのモデルとなった奥山玲子さんを戦災孤児にした設定は、おそらく最終回に『火垂るの墓』(1988 高畑勲監督)に到達させることまで考えた上での「孤児」設定だったのではないかということを書きました。

『火垂るの墓』の監督、高畑勲さんについては以前も書きましたが、僕が尊敬している監督であります。『なつぞら』にも、高畑勲さんをモデルとしていると思われる人物が出てきます。

3つ前の当ブログに、『なつぞら』に「TEAM NACS」の森崎博之さんが出た回のことを取り上げました。柴田農場など酪農農家が共同乳業を作ろうと団結し、十勝支庁に談判に行く回です。ここで、なつ(広瀬すずさん)と一緒に北海道に来ていた坂場一久(中川大志さん)も「実現しましょう!」と声をあげます。普段はおとなしい一久ですが、こういう「組合」や「労働」運動になると俄然張り切ります。この回の他にも、東洋動画の労働環境について積極的に意見を述べたりするシーンもありました。このような言動を見ると、この「坂場一久」のモデルは高畑勲監督だというのが分かります。

劇中で一久は東大出のちょっと変わり者キャラで登場しますが、高畑勲さんも東京大学を卒業して東映動画に入社しています。なつのモデルとなった奥山玲子さんより2年あとの入社です。奥山玲子さんの実際の夫は小田部羊一さんで、高畑さんと同期入社です。小田部さんは朝ドラ『なつぞら』のアニメーション時代考証をなさっていました。『なつぞら』でも描かれていましたが、大変な忙しい作画現場でも、スタッフ皆で話し合い納得いくまで論議を尽くす合議体制で制作していました。早く仕上げてほしい会社からすれば、困ったことです。また、当時盛り上がってきた「労働組合」運動にも積極的に関わり、副委員長をつとめています。(この項、続く)(ジャッピー!編集長)