ひとつ前の当ブログの続きです。

最終週に大泉洋さんが登場したことで、『なつぞら』は「TEAM NACS」コンプリートとなったわけですが、レギュラーだった3人(柴田農場の従業員役の音尾さん、山田天陽くんの父親役が戸次さん、安田さんは雪次郎の父親で「雪月」の主人を演じました)に続いて4人目の出演となった森崎博之さんも印象的でした。中盤過ぎぐらいだったでしょうか、酪農農家が集まって「十勝共同乳業」の設立のため奔走します。中心になっているのは、開拓者だったおじいちゃん(草刈正雄さん)の次の世代、藤木直人さんら二代目、三代目の人たちです。工場設置の届けを出しに十勝支庁に乗り込みます。なつの演劇部仲間だった富田望生さんなんか「百姓一揆だあ!」と気合を入れています。なつと一緒に来ていた一久も門外漢ながら「実現しましょう!」と鼓舞します。

農協の宇梶剛士さん(アイヌにルーツを持つ宇梶さんもいいキャスティングでした)が「酪農民の誇りをかけて、自分たちの牛で美味しいバターを作ろうとしているんだ!」と訴えるこの場面で、十勝支庁長を演じたのが森崎博之さんです。(ちなみに役名が「大清水洋」でしたから、ますます大泉洋さんの登場が期待されましたね) 役人として工場設置に反対の立場だった森崎さん、農協や酪農家たちの思いを聞いて、とうとう許可を出します。このとき、「私も十勝や北海道を思う気持ちは誰にも負けないんだ!」と声を大にして言います。熱演でしたし、TEAM NACSという北海道で生まれた演劇ユニットのリーダーとしての思いもこめられているようでした。

奥山玲子さんをモデルに日本のアニメーションの創成期を描くドラマで、北海道でスタートすることで「開拓者」というテーマがくっきりと浮かび上がりましたね。誰かが開拓し、それに続くものがいて、人々に笑顔や感動が運ばれていく……。森崎さんの出られた回が印象に残ったのは、そういった開拓者魂の継承が描かれていたからだし、

おじいちゃんがなつに言う「東京を耕してこい」という名科白も心に残りました。最終回でも、なつが「またこれから私たちの開拓が始まる」というモノローグがありました。脚本が見事で良い朝ドラでした。   (ジャッピー!編集長)