ふたつ前の当ブログで、昔の日本映画には実年齢が近くても親子役をやっていたものが多かったという話を書きました。

『女ひとり大地を行く』(1953 亀井文夫監督)では36歳の山田五十鈴さんと26歳で長男を演じた織本順吉さん。『流れる』(1956 成瀬巳喜男監督)では、山田五十鈴さんが39歳、娘役の高峰秀子さんは32歳とわずか7歳差。 『もず』(1961 渋谷実監督)で母娘を演じた淡島千景さんは37歳、有馬稲子さんは29歳。究極は、『山の音』(1954 成瀬巳喜男監督)の父親役を山村聰さん、その息子役の上原謙さんの方が実は1歳上だったのです。

最近の映画では、『母性』(2022 廣木隆一監督)がそうでした。母親役の戸田恵梨香さんと娘を演じた永野芽郁さんは11歳差だったかな。やはり、ちょっと母娘というには違和感があった気がします。もちろん、「老け」のメイクはされているのでしょうが、戸田さんもまだ若いし、肌はまだハリがあって美しいのが隠しきれません。

戸田さんといえば、朝ドラ『スカーレット』でヒロインの貴美子を演じていましたが、撮影時30歳の戸田恵梨香さんがセーラー服の中学生から演じ、10代の時期をけっこう長く演じました。そのため、撮影に入る前に5キロ体重を増やしたそうです。それで、何とか、ものすごい違和感には至らなかったのですが、『母性』のように、娘となる母親役となると、相手役(この場合は永野芽郁さん)と並ぶということになり、どうしても「姉妹」のように見えてしまいます。

ごく最近は『ラーゲリより愛を込めて』(2022 瀬々敬久監督)を観ました。これで泣かない人はいないんじゃないかと思えるほどの感動作でしたが、北川景子さんがちょっとキレイ過ぎたかなあ。子どもを4人産み、夫(二宮和也さん)を何年も待ち、戦中、戦後を苦労を重ねながら生きた女性にしては、ツルンとキレイな顔だなあと感じてしまうのです。

昔に比べアンチ・エイジングがすすんだり、最近のカメラの性能が良かったりということもあるのでしょう。でも、時にはその「美しさ」が違和感をもたらすこともあるのです。(ジャッピー!編集長)