ひとつ前の当ブログで書いたように、『おとし穴』(1962 勅使河原宏監督)の中で、よろず屋の女将を演じた佐々木すみ江さんがシミーズ一枚で横たわっているシーンの、ちょっと崩れた色っぽさが鮮烈な印象を残しました。

この映画では下着姿でしたが、佐々木すみ江さんがヌードを見せたのが『ゴンドラ』(1987 伊藤智生監督)です。この映画は、東京で高層ビルの窓拭きをしている青年(界健太さん)と、学校に馴染めず、母親も忙しく、行き場を失った孤独な少女(上村佳子さん)との交流を描いた映画で、美しい映像が随所にある素晴らしい映画です。タイトルの『ゴンドラ』とは、青年が窓拭きのとき乗っているゴンドラのことです。

青年は少女を連れて自分の故郷の寂れた漁村に行きます。青年の母親役が佐々木すみ江さんで、少女と一緒にお風呂に入るシーンで佐々木さんの豊満な乳房が映ります。このとき、佐々木さん、59歳。予想もしなかったのでビックリしたのを覚えています。

「テアトル新宿」で封切で観てから32年経っても覚えているのだから相当なインパクトです。いやらしい意味でなく、豊かな大地とか母性、郷愁といったものを感じたのです。この映画、少女の実の母親役の木内みどりさんもヌードを披露していましたが、後半の佐々木さんの印象が強かったなあ。

この『ゴンドラ』が2019年4月13日から1週間、「ポレポレ東中野」で行われた「佐々木すみ江さん追悼上映」上映され、観に行ったとき、監督のトークショーで、この入浴場面で恥ずかしがっていた子役の上村さんを佐々木すみ江さんが「あたしなんか、こんな三段腹なのに裸になるんだから!」と言って、励ました?というエピソードを話されました。 (ジャッピー!編集長)