今日は「赤羽」まで行ってきました。

駅から10分ほど歩いたところにある「青猫書房」という絵本専門の書店で『永山則夫が残したもの』という展示が開かれていて、観に行ったのです。

この展示、今年で「第7回」ということで、毎年この時期にやっていたそうなんですが、僕はまったく知りませんでした。友人がこの催しを教えてくれて、今日の最終日に何とかすべり込んだのです。

今回は『永山則夫と「知識人」交信の断片』と題され、「書簡」が展示テーマでした。永山則夫さんの『無知の涙』の最初の単行本の表紙を描いた赤瀬川原平さんの年賀状や、やはり永山さんの著書の装丁をした山本美智代さんのハガキ、鎌田慧さんの手紙、そして永山さんの返信などが展示されていました。永山さんの手紙は便せんを横に使い、読みやすい文字で書かれていました。

僕の心にいちばん響いたのは、瀬戸内寂聴さんが海外から出した絵葉書や手紙です。中でも、永山さんの著作を読んだ瀬戸内さんの長い書簡は、本当に「永山則夫」という拘置所の中にいる一人の人間に対し、色眼鏡で見ることなく、自然な言葉で率直に接しているのが分かり、印象的でした。この手紙を見れただけでも、この展示会に来た意味がありました。

「あなたの裁判をめぐって、いろいろな人が集まって何やかややろうとしています。私は次第にそういうものが分からなくなっています。私は私個人であなたと関わりたいと思います。何も自分が今のあなたの役に立つとは思えません。(中略) あなたの苦しみのまわりで私はただおろおろするだけです。私はあなたが今、どうすればいいのか、何をすればいいのか本当によく分からない。ただ、あなたが一日でも長く生きて、自分も含めた人間の秘密を見つめてほしいと希うだけです」

その文章から、文字から、行間から、何と誠実さが伝わってくるのでしょう。このように人が人を気にかけることができるということの美しさを感じるのです。(ジャッピー!編集長)