ひとつ前の当ブログで書いたように、1991年の大河ドラマ『太平記』で新田義貞を演じた萩原健一さんは病気で途中降板、根津甚八さんが代役をつとめます。ちなみにショーケンがこのとき患った右耳うしろの腫瘍は7年後に再発し、当時、監督をやるという話もあったのですが流れてしまいます。

代役をつとめた根津甚八さんのことを、ショーケンは非常に高く買っていて、同時代の俳優で意識した人はいるかという質問に「根津を見たときにはちょっと意識した。いい役者が出てきたなと思った」と発言しています。ショーケンはTBSで放映していた『冬の運動会』(1977)を観て、そう感じたそうです。『冬の運動会』には、根津さんの恋人役でいしだあゆみさんも出ておられましたが、ショーケンとの交際はまだ始まっていないと思います。(ショーケンがいしださんと結婚する切っ掛けとなる『祭りばやしが聞こえる』は1977年の秋スタートです)

この向田邦子さん脚本の名作ドラマ『冬の運動会』は、大滝秀治さんと赤木春恵さんが演じる夫婦の家に入り浸る青年が主人公です。本当の家庭には居場所がなく、疑似家族の方が気持ちを開いて自分らしく過ごせるという役を根津さんが好演していました。

唐十郎さんの「状況劇場」の看板俳優だった根津さんが、初めてお茶の間で知られるようになった作品ですが、ショーケンもしっかりチェックしていたとはさすがというしかありません。

『冬の運動会』については当ブログ2021年10月21日「根津甚八さん主演の名作ドラマ『冬の運動会』と『万引き家族』」、2022年2月3日「『冬の運動会』で尿意を訴えたいしだあゆみさんに根津甚八さんが渡したのは」にも書きましたのでご参照ください。(この項、続く) (ジャッピー!編集長)