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実話を基にした台湾映画『KANO 1931海の向こうの甲子園』(2014 マー・ジーシアン監督)は、

日本統治下にあった台湾から、「三族共学」の「嘉義農林」は、漢人(中国大陸から移住した漢民族がルーツ)・台湾原住民・日本人の混成チームで出場します。

船に乗ってはるばる甲子園にやって来た「嘉義農林」にマスコミが集まってきて好奇と「上から目線」的な姿勢で質問をします。このとき近藤監督(永瀬正敏さん)が「この子たちを見ろ! 同じ球児だ!」と言うのが感動的です。

予想を覆し、勝ち上がっていく「嘉義農林」はついに中京商との決勝にのぞみます。ここまでチームを引っ張ってきたエース呉明捷くん(ツァオ・ヨウニンさん)は指を痛めていて決勝で打ち込まれます。ピンチのときにマウンドに集まった仲間が「俺たちが守るから打たせていけ!」というところも良いシーンでした。この辺も「地元の選手」のみで構成された「金足農」のチームの絆と重なります。

よく野球映画で明らかに素人のプレイを見せられると興覚めしますが、この映画は「嘉義農林」の選手たちをキャストするときに「5年以上の野球経験のある人」を選んだとのことで、試合のシーンは本物の迫力です。特にツァオ・ヨウニンさんは当時、「世界野球選手権大会」にも台湾代表で出場したほどの大学野球の選手だったそうです。

「嘉義農林」は完封され準優勝に終わりますが、この1931年の「甲子園大会」では「球場の観客の大部分は嘉義農林びいきだ」と菊池寛さんが朝日新聞に書いています。このあたりも「金足農」を応援する人が多かった2018年の大会と共通しますね。「判官びいき」というのは今も昔も変わらないようです。

この映画を観たのは2015年(「新宿シネマート」でした)ですが、それまで「嘉義農林」のことは知らなかったので興味深く観れました。この映画は台湾で興収10億円を超える大ヒットになり、「映画を観て甲子園に来たくなった」という人が増え、翌年の甲子園には台湾からの観客が多かったそうです。 (ジャッピー!編集長)