ひとつ前の当ブログで、田中絹代さんが1977年3月21日に67歳で亡くなった直後、その実際の死に重なるように『前略おふくろ様  (第2部)』の劇中で、サブちゃん(萩原健一さん)のお母さん(田中絹代さん)のお葬式のシーンがありました。

まるで、倉本聰さんの書いたシナリオに合わせたような田中絹代さんの訃報だったわけですが、脳腫瘍で視力を失ってしまった田中さんは「目が見えなくてもできる役はあるかしら」と入院先の病院のベッドで話していたそうですから、回復して女優を続ける気持ちはまだまだ消えることはなかったのです。

田中絹代さんが演じたサブちゃんの母親は認知症が出始め、子どもたち(サブの兄など)に厄介者あつかいされる役でしたし、『サンダカン八番娼館 望郷』(1974 熊井啓監督)でもボロボロの家に住む老婆という感じでしたが、思えば、まだ67歳で亡くなってしまったのです。

『前略おふくろ様』で末っ子の役だった萩原健一さんも2019年3月26日に亡くなってしまいましたが、享年は68歳ですから、あのときの田中さんの年齢を越えたわけです。それでも、亡くなるには若い年齢であることは変わりません。そんなショーケン、2019年の大河ドラマ『いだてん』の中盤、7月頃でしたか高橋是清役で出ておられました。亡くなる前に収録されていたわけですが、その頃はかなりお体の具合は悪かったはずです。ショーケンが病気と闘いながら撮影に臨んでいたことは『クローズアップ現代+』にも記録されていましたね。(当ブログ2021年11月15日をご参照ください)

出番は少なかったですが、さすがの貫禄と存在感で、対峙する阿部サダヲさんが圧倒されていたように見えましたね。ショーケンの気迫の演技を観て、田中絹代さんと同じように死ぬまで役に没頭したのだなあと感慨深いものがありました。  (ジャッピー!編集長)