このところの当ブログで、脚本家の上原正三さんのことを書いています。

『ウルトラセブン』がスタートしたとき、上原さんは『快獣ブースカ』の担当になり、新参の市川森一さんと脚本を書いていていました。なので、『ウルトラセブン』が始まってだいぶ経ってから合流する形になりました。

『ウルトラセブン』の上原さん脚本作品でまず思い浮かぶのが、「悪魔の住む花」でしょう。若き日の松坂慶子さんが出ておられることでもよく知られていますね。まだ大映にスカウトされる前、「劇団ひまわり」に在籍中で15歳ぐらいでしょうか。

松坂慶子さんが扮する少女・香織がお花畑で見つけた花びらに顔を近づけた途端、気を失います。血液型が適合するアマギ隊員(古谷敏さん)が病院に駆けつけますが、香織に襲われてしまいます。香織は、ダリーという宇宙細菌に感染したため、吸血鬼になってしまったのです。そして、香織に寄生するダリーを退治するために、ウルトラセブンはミクロ化して香織の体内に入るのです……。

と、こう書けばお分かりだと思いますが、これは『ミクロの決死圏』(1966 リチャード・フライシャー監督)の設定を借用(インスパイア?)したものです。『ミクロの決死圏』は、手術が不可能な患者を救うために、潜水艦ごと医療チームをミクロ化して人体の中に入れるという奇想天外の治療アドベンチャー映画です。チームは5人だったかな。紅一点がラクエル・ウェルチさんで、色っぽかったなあ! 体内に入れる時間が限られている中、次々に立ちふさがる障害を乗り越えていくのがけっこうハラハラしました。

それを借用したわけですが、特撮ヒーローといえば巨大化するのが当然というときに、ウルトラセブンを極小化するというアイデアはなかなかです。

実はもう1本、『ミクロの決死圏』のアイデアを借用したと思われるのが、大映の『ガメラ対大魔獣ジャイガー』(1970 湯浅憲明監督)です。ジャイガーという怪獣が、ガメラの体内に幼虫?を産みつけるのですが、ガメラを助けるために、二人の少年がガメラの体内に入り、子ジャイガーと戦うのです! 

昔のSF映画とか観ていると、かつては夢のように思われたものが実現しているケースも多いですね。(人口知能とか無人運転とか) しかし、さすがに人間のミクロ化は現実になっていませんね。『ミクロの決死圏』のような治療が可能だったら、新型コロナ・ウィルスと戦うこともできるのに……。  (ジャッピー!編集長)