ひとつ前の当ブログで、お正月は『新春かくし芸大会』を観ていたという話を書きました。

『新春かくし芸大会』は、ハナ肇さんと植木等さんの両キャプテンはじめ、ほとんど渡辺プロダクション所属の歌手、タレントが主力で、当時の芸能界におけるナベプロの影響力を感じさせます。クレージーキャッツ、ザ・ピーナッツを擁して『シャボン玉ホリデー』を作っていたわけですから、ヴァラエティー番組のノウハウも熟知していたわけです。『シャボン玉ホリデー』では、ゲストで出た中尾ミエさん、伊東ゆかりさん、ジュリー、森進一さん、布施明さん、小柳ルミ子さんといった人気歌手もコントを演じたり、歌以外のことにトライしていましたから、それが『新春かくし芸大会』に活かされたと思います。

70年代になると、『新春かくし芸大会』の顔となったのが、堺正章さんと井上順さんの元スパイダースのお二人です。井上順さんは「パロディ・ドラマ」で主役を演じることが多く、その物真似が絶妙でした。たしか『刑事コロンボ』のピーター・フォークさんに扮したときがあり、細かい所までマネしていて大笑いしたのを覚えています。

そして、堺正章さんの方は毎回、高難度の個人芸を見せて「かくし芸大会」には欠かせない存在となりました。海老一染之助・染太郎さんのような皿回し、大きな独楽を操ったりの「太神楽」系のものによく挑戦していたと思います。最初はハラハラしながら見ていましたが、年を重ねるごとに「マチャアキなら失敗しないだろう」と見る方も思うようになりました。まさに「かくし芸」のマエストロという感じでした。

堺さんはこういった「芸」に対するカンが優れているのでしょう。孫悟空を演じた『西遊記』でも京劇風の棒術を見事にキメていましたし、長年、司会&調理をつとめた『チューボーですよ!』では、街の巨匠シェフの技に挑戦したりしていました。(何枚かの肉を一気にひっくり返したり、といったパフォーマンス的なもの) 本当に「芸達者」な方だと思います。

『新春かくし芸大会』はやがて、ハナさん&植木さんに代わり、堺さんと井上さんが両軍のキャプテンとなり、ナベプロ色も薄まってきました。公開オーディション番組『スター誕生!』の登場とともにホリプロが台頭するなど勢力図も変わってきたこともあります。そして、時代は進み、『新春かくし芸大会』の後期になると、中居正広さんが司会、草彅剛さん、香取慎吾さんがキャプテンとなり「ジャニーズ」色が濃くなっていきます。このあたりから、僕もほとんど見ることも少なくなっていきました。(ジャッピー!編集長)