ひとつ前の当ブログの続きです。

萩原健一さんが亡くなったあと、2019年4月4日(木)の22時からNHK「クローズアップ現代+」で「ショーケン・独自映像 最期の日々8年の素顔」では、その前年の秋に放送されたドラマ『不惑のスクラム』の撮影現場も映されました。若手のスタッフに「挨拶ぐらいちゃんとしろよ!」と怒鳴る所はさすがの迫力でしたが、作品をいいものにしようと真剣に工夫し挑んでいる姿がとても印象的でした。

僕もこのドラマを観ていました。高橋克典さん演じる男は刑務所に入っていたことがあり、それが引け目になり前向きになれないのですが、ショーケン演じる中年ラグビー・チームのキャプテンに誘われ、自分を取り戻していきます。何だか、何度も逮捕され「どん底」も味わったショーケン自身が、いろんな人の助けで這い上がってきたことを思わせる部分がありました。

このキャプテンがガンにかかって余命わずかな役(第4回で亡くなる)でしたが、観ている方はそんなこと夢にも思っていなかったし、太った体でドタドタと走るシーンがあるのですが、僕はてっきり「役作りでわざと太った」ぐらいに思っていたのです。実は「腹水」がたまり体調が思わしくなかったと知りました。番組は、衣装を変えるときに裸になったショーケンのびっくりするほどポッコリと出っ張ったお腹も映し出されます。

何でも、お医者さんからは「出演は自殺行為だ」とストップがかけられていたそうですが、萩原さんは周囲には病気を隠して出演、吹き替えも用意されたけれど出来る限り、ご自分で走ったのだそうです。劇中でも68歳の役だったし、ご自身の病気を重ねながらの演技だったでしょう。ご自身が癌にかかったことについて「非常に不幸なことだけど、今までと違う自分が発見できる」と演技を深めようとするプロ意識に感服しました。

この「53時間」に及ぶ映像も「自由に使ってください。いい番組を作って」とスタッフに託したショーケン。逮捕や不祥事、いろいろなことがあったけれど、多くの良い作品を残しました。NHKでもたくさんいい仕事をして貢献しました。「クローズアップ現代+」、ショーケンへのリスペクトに満ちたいい番組でした。 (ジャッピー!編集長)