当ブログで最近(12月20日~22日)、『ウルトラマンZ』→「ケムール人」→「古谷敏さん」と話題にしていますが、古谷敏さんが『ウルトラQ』で着ぐるみに入ったのは「ケムール人」だけではありません。「ラゴン」の中にも入っています。

『ウルトラマンZ』には、過去の「ウルトラ・シリーズ」に出た怪獣が番組を越えて再登場していますが、「ラゴン」は『ウルトラQ』に出たあと、『ウルトラマン』にも巨大化して再登場してますから、「番組またぎ」怪獣の第1号といえます。ウルトラマンの着ぐるみに入った古谷敏さんは、かつて自分が演じた「ラゴン」と戦ったわけです。

『海底原人ラゴン』の回に出たラゴンは、「原人」の名の通り、はるか2億年前から地球に生息していた陸海両棲生物です。つまり、人間よりも前から地球上にいたのです。先住民といっていいでしょう。姿は、二足歩行ですが爬虫類ぽく、魚から進化し、爬虫類から哺乳類に進化する途中という感じでしょうか。つまり、「半魚人」という呼び名も当てはまるような感じです。はじめて見たときは、かなり怖いと感じました。海で出会ったら、卒倒してしまうだろうと子ども心に感じました。

「ラゴン」がまだ哺乳類に進化していないのは、「卵」を取返しに来たことから分かります。そうです、「ラゴン」は漁師が引き揚げてしまった「卵」を取返しにやってくるので、むやみに攻撃的な怪獣?ではないのです。そして、「ラゴン」は音楽に興味を示し、聴き入るのです。佐原健二さんに迫ったときハラハラしましたが、ラジオをかけると、大人しくなった場面が印象に残っています。

これで思い出すのは、第90回アカデミー賞の作品賞を獲得した『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017 ギレルモ・デル・トロ監督)です。この映画で、捕らえられた半魚人とサリー・ホーキンスさん演じるヒロインの心を通じさせるきっかけになるのがラジオから流れる「音楽」です。この作品を観たとき、『ウルトラQ』世代なら、反射的に「ラゴン」を思い出したはずです。

この作品でアカデミー賞の監督賞を獲得したギレルモ・デル・トロ監督は特撮オタクで有名です。日本の特撮映画、テレビにも造詣が深いデル・トロ監督のことだから、絶対に「ラゴン」を観ているでしょう。そして、素晴らしい作品を作り出したのです。 (ジャッピー!編集長)