「闘病セグメンテーション」の続きになります。
ここからは、少々内容が混み入ってくるので、ところどころに自分の拙い経験をチラバメながら書いていきたいと思います。
自分の備忘録のようなものですので、答えについては参考程度でお願いします。
中項目①
治療の選択肢。
【小項目分類】
1.自分の癌について勉強。
原発、ステージ、進行速度、転移率、再発率、治療期間、予後、余命、費用を客観的に把握。
2.自分の癌に有効な治療法を確認。
特に「標準治療」が当てはまる癌なのか?「標準治療」では治せない癌なのかを必ず確認。
3.自分の癌の治療を得意とする専門医を探す。
専門性が強い今では、医師は必ず自分の得意な分野をアピールしているので、必ず自分の病巣、状況に合わせて探す。
その医師の著作物、ネットでの発言等は必ず読む。
4.どの様な癌であっても必ず専門医のセカンドオピニオンを実施する。できれば2名以上が好ましい。
5.使えそうな制度や補助を確認する。
国、地方公共団体、病院はもちろん会社や保険組合についても確認。必要であれば直接、問い合わせ、相談を行う。
6.自分なりに闘病のイメージを作ってみる。
なるべく紙に書いてみる。
そうする事で、全体像が見えて冷静になれる。
私の場合は、緊急手術だったので、こう言った準備は何も出来ず、突っ込んでいった感じでしたので、全て1回目の手術が終わった後に、病院のベッドの上にPCや書籍を取り寄せて行いました。
1回損した感じですが、腹膜偽粘液腫のように切ってみて初めてわかるケースもあるわけで、様々なイレギュラーが起きます。
大切な事は、兎に角、早期に、こういった取り組みを自ら始める事です。
中項目②
基本知識の整理。
【小項目分類】
1.まず癌そのものついて勉強。
「がん」と「癌」の違いすらわからないのが普通です。
いくつかの病院で、詳しいホームページをアップしてくれているので、一度は完読しましょう。
おススメサイト
・全般
「がん情報サービス」(国立がん研究センター)
http://ganjoho.jp/public/index.html・乳癌等
「健康を決める力」(聖路加国際大学)
・腹膜播種
腹膜播種治療支援機構HP(NPO法人腹膜播種治療支援機構)
2.癌ドラマやメディアの記事に騙されない!
基本的にドラマや雑誌は視聴率や発行部数が全てです。ウケる内容なら嘘や不確定な内容も書きますし、脚本、演出、演技は大袈裟になります。
3.前項1でも書いたような患者自らの学習習慣が、実は運命を左右しますが、病院や主治医はそれを教えたり勧めたりはしません。
4.「食」は大切。
どんな治療を行っても、栄養状態が悪い人ほど、治療が辛く、寿命が短い。
5.癌治療法の有効性は、
手術➡︎化学治療(抗癌剤)➡︎放射線 とされる。
その中で、厚労省認可のガイドラインに従って行われるのが「標準治療」である。所謂、保険適用範囲の癌治療で最も標準化されていて安心だが、全ての癌に対応できるわけではない事を知る。
また、代替医療の存在もオプションで備えておく。
結果的に手数が多い程、安心でき心に余裕を持てるし医師任せにならないで済む。
6.体調は治療に影響するか?
弱っている人ほど抗癌剤は効きにくく、副作用が強く出やすい。逆に元気な人ほど効きやすく、副作用も出にくい事を知っておき、少しでも体調を整える方法を調べる。
7.抗癌剤治療は辛い?
この先入観が判断を誤らせて手遅れになるケースが多い。やってみて判断!
8.抗癌剤治療の第一目標は効き目ではなく、副作用対策であると心得て臨むべき。
正しい「患者学」は医者任せにせず、自ら学ぶ事!
中項目③
自分の体調。
【小項目分類】
1.実は見た目の元気さが、癌病状の全てを表している。
名医ほど数値データより患者の表情を診る。
日頃から鏡で自分の観察していると状況を把握しやすい。
2.運動は必要?
病状がどの段階でも癌リハビリを並行していかないと、悪化をたどる事になる。
3.どんな運動が良い?
リハビリには有酸素運動(散歩で良い)と下半身の筋トレが有効。
実は、軽い運動で癌による倦怠感も拭える。
私は日の出の時間に散歩をするのですが、毎日、大股で思い切り腕を振って息荒く早歩きしている年配の方とすれ違います。おそらく何かの健康本に書いてあった運動方法を実践しているのだと思いますが、これはおススメできません。
加齢とともに負荷のかけ過ぎは、反対に様々な部位の故障の原因になります。
下手な運動は早死への直行便です。
気をつけましょう。
4.体調が悪いときは横になる?
体調が悪くても重力に反する体制を維持するだけでも体力維持ができる。
座っているだけでも良いので、横になるのはやめましょう。座る事もできない状況なら、直ぐに病院へ行く判断をしましょう。
5.体重は影響する?
体重が減ってしまうと寿命が縮まる事を知る。
医師に相談して原因を必ず見つけて対処しましょう。
6.食欲がないときはどうする?
吐き気や食欲不振の時は好きな食べ物は敢えて避ける。
無理して食べると体調が回復しても、好きなものが食べられなくなってしまい、食欲減退の悪い循環になる。
カロリーに注意して効率の良い栄養摂取を心掛ける。
7.闘病が長期に及ぶと?
歳をとるとともに、病気でなくとも体力は落ちていく事に備える。
これは避けられない問題なのですが、意外と見落としがちで不要な落ち込みをしてしまう方がいます。
中項目④
自分の生活様式。
【小項目分類】
1.癌治療は癌である事を忘れるために行うものと考えて生活を組み立てるのがポイント。
2.仕事は?
可能な限り続ける。
隠すより会社や周囲の人の理解を得て、淡々と出来る事をこなしていく事で、社会性が保たれ自信になる。
3.旅行や人との付き合いは?
いろんな観点で自信がつくので、可能な限り行くべき。
また、なるべく人と接して会話をしている方が抗癌剤の副作用の辛さも軽減できる。
4.人生設計は変更?
治療のスケジュールから逆算して組み立て直す。
特に化学治療を長期に行う事になった場合は、副作用の時期から逆算して計画を立てる事で、目標を維持できる。
5.安静に過ごす?
癌なったからと無用な安静は、寝たきりと治療失敗の要因になる事を知る。
6.闘病の姿勢は?
小さな失敗と挑戦を避け続けるていると、最後に大失敗に見舞われる。
7.「食」生活は?
原則、食べられるものは何でも食べて体力を維持する事が大切。
逆に、健康志向だからと減塩食などに傾倒してしまうと食欲を低下させ、治療失敗の要因になってしまうので注意。
中項目⑤
医師と自分の関係
【小項目分類】
1.主治医は第1のアドバイザー
とは言え、全てを主治医任せにしてしまうのは不幸の始まり。
患者としての知識をしっかり持ち、言いたい事を言える関係づくりが、結果的に治療が上手くいく。
2.主治医が取っ付き難い!
医師も人間ですから、表現や人付き合いの下手な方もいるし、たまたま激務と重なり機嫌が悪いときに当たってしまう事もあります。
そんな時は、看護師さんや薬剤師さんが頼りになります。
制度的な相談は病院専属のソーシャルワーカーや病院の相談窓口を利用。
3.診察の心得は?
診察は面接と同じです。
準備なしに臨むのは失敗の始まり。
必ず事前に聞きたい事をメモして診察室に入ります。事前に窓口で渡しておけば主治医も対応しやすくなるのでおススメです。
また、日々の体調や副作用を小まめに記録しておく事が、治療を楽にするコツです。
メモに書いてまとめる事で自分の中でも様々な事が整理できます。
4.伝える事!
医師の前ではやせ我慢は禁物。
医師と言えども当事者ではない以上、辛いことは明確に伝えなくてはわからないこともある。これを怠ると緩和をしてもらえず、辛い闘病になってしまう。
特に抗癌剤の副作用は80%が自覚症状によるものなので、尚更大切。
体調や副作用の状況を日々記録しておくと良い。たまたま、診察当日に調子が良かったりすると伝えきれない可能性がある。
中項目⑥
情報収集と選択
【小項目分類】
1.癌治療の情報に関しては必ずしも誰もが共有してくれるものではない。
不思議なことに成功事例は公表されず、失敗事例が強調される傾向がある。
実はあっさりと完治して社会復帰できている人も多い事を知り、前向きに取り組む事が大切。
2.癌治療、特に抗癌剤治療やHIPEC(温熱化学療法)は個別性が高いので、他人の経験を鵜呑みにするのは危険。
3.治療が上手くいかなかったり辛いのは医師、患者の双方に原因がある。
酷い目にあうのは大抵は薬剤量の調整をしてもらえなかったり副作用対策をしっかり行えていない場合。
4.がん友との付き合い。
闘病が辛い時は、自分だけで抱え込むと耐えられないが、がん友と分かち合うと耐えられる。
絶望感は絶望感とすり合わせる事で克服できることもある。
成功例より失敗例の方が、役立つ事が多いので聴き役になる事も大切。
中項目⑦
自分の意思、生き方
【小項目分類】
1.癌闘病の目標は?
癌を治す事にこだわらず、今の生活を維持する事を目標にする。
やはりQOLが大切。癌でも日常を楽しめれば問題ない。
人生下り坂に入ってしまった事は事実。それを楽しむしかない。どん底であればもはや上を見るしかないので、悪い事は想定しない。
そもそも癌闘病などは、チョット昔なら存在しなかったもの。今を生きる自分は、もう一度チャンスを与えらたのだと思えればお得な事。
2.新しい治療法や技術は?
積極的に取り込む。もはや躊躇する意味がない。
もちろん怪しいものは避けるが、新しいものにはエビデンス云々は基準にならない。数少なくとも実例や予後を確認して自ら判断する事が大切。
その病院や医師の具体的な取り組みやポリシーを調べれば見えてくる。
3.闘病の悩みはどうする?
悩んだら書き出してみる。
大抵の事は整理でき解決可能。また、人に話す事で90%は解決できる。抱え込まない事。
4.キリがないと思ったら?
一つ解決すれば、必ずつぎの問題が発生するものだと心得る。
一つ一つ対処法を構築、蓄積していく事で、克服できる。
中項目⑧
研究機関、薬剤、学会との付き合い。
【小項目分類】
1.癌関連研究機関や学会は患者の参加を望んでいる。機会があれば積極的に参加すべし。
患者は「患者」のプロとして意見を述べる役割があると考える事が他の患者の助けになる。
2.辛いと評判の薬剤だが?
可能性を失わないためにも、薬剤は先入観無く一度使ってみてから判断すべし。
特に、抗癌剤については副作用ありきなので、痛いものは事前に医療用麻薬を、嘔吐をもよおすものであれば先に吐き気止めを入れてから実施して、それでも辛ければ減量でコントロールする段取りで取り組んでみる。
薬剤名は必ず覚える。それが医師任せではない姿勢を示し、成功に結びつく。また、その薬剤の製薬会社のウェブサイトは必ず閲覧し学習する。
患者向けパンフレットを利用しないのは治療失敗の始まり。熟読すべし。
こんな感じで、闘病で起こり得る項目を細分化して自分なりの答えを出しておく事で、やるべき事が見えてくると思います。
上記のセグメントはあくまでも私の場合の事例ですので、項目や答え変わってくると思います。
大切な事は、前に進める事。
マイナス思考に陥って、いきなりの無治療はおススメできません。
まずは悩む前にセグメンテーションから始めてみましょう。