音読みと訓読みの違いがわからない、見分け方を教えてほしいみたいな声をネットでよく見かける。一応、学校で習ってると思うんだけど、大人でもあやふやでよくわかってない人が結構いる。


国語の授業で、「一文字だけで意味がわかるものが訓読み」「一文字だけで意味がわからないものが音読み」のように習う人も多いみたいなんだけど…これは…わかりにくいよね…。まぁ、これが「車(くるま、シャ)」「頭(あたま、ズ)」くらいならまだ何となくわかる気もする。


車に乗ります。→「車」は一文字だけで使われていて、これだけで意味がわかるので訓読み。(「乗る」も同様)

乗車します。→「二文字の熟語になっていて、『ジョウ』も『シャ』も単独では意味がわからないので音読み。


こんな感じ。「くるま」と「シャ」なら、「くるま」の方が、聞いてすぐに意味が思い浮かぶというのは確かだと思う。


頭が痛いです。→「頭」は一文字だけで使われていて、これだけで意味がわかるので訓読み。(「痛い」も同様)

頭痛がします。→「二文字の熟語になっていて『ズ』も『ツウ』も単独では意味がわからないので音読み。



この辺までは理解しやすいと思う。


でも、「駅(エキ)」や「肉(ニク)」が音読みだと言われると、「ハァ??」となる人が多いのではないか?「駅へ行きます」とか「肉を食べます」のように、単独で使われていて、普通に意味が通じているように見える。このように、訓読みか音読みか判断が難しい字もけっこうある。ちなみに「愛(アイ)」や「絵(エ)」も音読み。


これの説明はなかなか難しいんだけど…放送大学の印刷教材「日本語リテラシー」にわかりやすい説明が載っていた。

 

 


まとめると、「『音読み』とは、漢字が中国から入って来た時に、一緒に入って来た音。『訓読み』とは、その漢字を翻訳した時に、最も近いと考えられた和語」とのこと。


前半部分は私も前からわかっていて、漢字を教える時によく使っていた説明なんだけど、後半部分の説明があまりうまく行ってなかった。「その漢字の意味を考えて、それまで日本にあった単語と同じ意味だな~と思った時、それも読み方として使おう!となったのが訓読み」みたいに説明することが多かったと思う。それで間違ってないとは思うけど、「訓読み」が単なる「読み方」ではなくて、「翻訳」「意味」なんだという考え方はスッキリしてるなと思った。


「音読み」は純粋な「音」「読み方」だけど、「訓読み」は「読み方」というよりは「翻訳」「意味」


と考えた方がわかりやすい…と思うんだけど…どうだろう…?


この印刷教材には韓国語の例も載っている。韓国語と日本語は文法が似ているし、独自の言語を持ちつつ、中国から漢字が入って来た状況も同じなんだけど、漢字の読み方に関しては違う方法を取ったらしい。


日本語の場合、中国から「月」という漢字が入った来た時、「ガツ」「ゲツ」などの音も入ってきてこれを音読みとし、この漢字を翻訳すると和語の「つき」だったため、これを「訓読み」とした。韓国語にも、日本語の和語に当たるような「固有語」というものがあり、「月」の翻訳は「タル」になるが、この「タル」は漢字では書かないということだそうだ。「月」という漢字は、音読みに当たる「ウォル」の読み方があるだけで、訓読みに当たるものはないとのこと。現在では韓国語の表記はハングルが使われていて、以前少しかじった際も「漢字ハングル交じり文」は習わなかったので、この辺の事情は知らなかった。


もし、これでもまだモヤモヤする、よくわからん…という人は…。「中国から漢字を輸入」ではなく「英語圏からアルファベットを輸入」と考えたらどうか。


「car」と書いて「くるま」と読むのが「訓読み」

「car」と書いて「カー」と読むのが「音読み」


乱暴な例ではあるけど、つまりこういうことだと思う。もし、漢字の輸入がなかったとしたら、「carにrideます。」と書いて「くるまにのります」と読むみたいな読み方が発明されていた可能性が…ない…まぁ…ひらがなも漢字からできてるから…こんな表記はありえないんだけど、イメージとしてはこんな感じではないか?


「乗車」や「頭痛」にあたるような英語の熟語の例をずっと考えてるんだけど、なかなか難しい。「stay home」とかかなぁ?こんなご時世だし。


「homeにstayます」と書いて「いえにいます(とどまります)」と読むのが訓読み、「stay homeします」と書いて「ステイホームします」と読むのが音読み、という感じかな…。要するに、言語の音になるべく近い音で読んだものが「音読み」で、その単語を翻訳したものが「訓読み」と。「THE LORD OF THE RINGS」を「ゆびわものがたり」と読むのが「訓読み」で、「ロード・オブ・ザ・リング」と読むのが「音読み」とか?さすがにそれは行きすぎか…。

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でもまぁ、音読みか訓読みかわからなくて何が問題なのか、どんな時に困るのかと考えると…あまりないような気はする。わからない言葉に出会った時、読み方が推測できるというのはあると思うけど…他は…どうなんだろう。


あ、あと、訓読みと音読みを、ルールとして誰かが決めているみたいに考えてる人も結構いる気がする。これは文法とかでもそうなんだけど、言葉に関することは、誰かが決めているのではなくて、自然にそうなっているもので、それを見つけて分析して整理したものというのが多い。訓読みと音読みに関しても、昔の偉い人が「コレは訓読み!コレは音読みとする!」のように決めたわけではなく、自動的にそうなっているものなんだよね。辞書などでは、訓読みはひらがな、音読みはカタカナで書いてあることが多いけど、それは誰かが決めたと思う。でも、どれが訓読みでどれが音読みなのかは人が決めたものではないということ。